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第88話 着きました

「おーい、ユキオスもうすぐ着くぞ。起きろ」

 喫茶店を出発してから約三十分、それまで緑豊かな風景が続いていたのだが、それがガラリと変わり民家の数も増えてきた。


「すぐ先に見えるナミールホッザラ橋を渡るとここからラ・ハルヤパスの町域に入る。この町には古今東西からたくさんの特産品や書物、それに各種調味料などが集まりそれらが商人達によって取引されその後、多方面へと流通されていく。なんたってこの国きっての文化・物流流通都市だからな。まぁ、楽しんできな。悲しいがそろそろ暫しの別れだ。俺はこの先を左に曲がって市場へ大根を届けてくる。六時間後、またここで落ち合おうぜ」


「わかりました。ありがとうございます」

 ここでヘプポーさんと別れた。


 ***


「えーと、地図によるとこの通りを左へ曲がってその先を……。いや、待てよ――」

 ダメだ。隊長直筆の手書きの地図のレベルが高すぎる。いや、正確には難解すぎる。なんだここに書かれている『ユキオスよ。ポシンゴの中で泳ぐ時こそ世界のモギダゴパロロヤが眠っている』って。それは建物の名前なのか。いや、それとも――。仕方がない。ここは町人まちびとに聞いてみるか。


「あっすいません。ここら辺に『ポシンゴの中で泳ぐ時こそ世界のモギダゴパロロヤが眠っている』ってありますか」


「……。お前寝惚けてるのか?」


「……。すいません。ごめんなさい」

 しまった。完全にしまったぞ。これは道に迷ってしまったようだ。


 ***


 道に迷ったのは仕方ない。隊長の難解すぎる地図のせいだが。気を取り直した俺は通りに面した一等地にあるオシャレなカフェ『ンゴス・ヌヌシクポッポス』で聞き込みをすることにした。


「いらっしゃっいませ。こんにちはー!」

 ドアを開けるなり元気な店員さんの叫び声が聞こえてくる。どうやらここの店員は本気のようだ。


「お客様、本日のオススメはコーヒーサンマ太刀魚定食になります!」


「定食――!?」

 まさかカフェに定食があるとは。さすが文化・物流流通先進都市ラ・ハルヤパス。一歩先を進んでいるぜ。いや、一歩とかじゃなくて未来だ。しかし、コーヒーサンマ太刀魚定食ってなんなんだ。とても気になるぜ――。


「それを下さい。あとコーヒーは砂糖ではなくてダブルポッチョイ入りで。それと実は今、あるお店を探してまして……」

 注文しながら俺は店員さんに自分の言葉を伝えた。店員さんは満面の笑みでここから俺が目指している古書店『ニッキー&ボギャニフニダフブラザーズ』への行き方を教えてくれた。


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