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第86話 さぁ出発! ラ・ハルヤパスへ

 隊長からのお願いを聞いた後、俺は出掛ける準備に取り掛かった。ラ・ハルヤパスはバザールが開かれるほどの大都会。田舎者だと侮れないように流行りの服に着替えてオシャレなサングラスをかけてみる。あと、念のために護身用の暗黒歩兵専用短剣を装備しとく。


「よし、このコーディネイトなら大丈夫。俺はオシャレな男だ。俺はオシャレな男だ!」

 鏡とにらめっこしながら俺は一言そうつぶやいた。


 ***


 うららやか太陽の元に俺は立っている。天気は晴天。絶好の遠出日和である。隊長の話だとラ・ハルヤパスに大根を出荷する馬車に乗せてもらえるらしいが――。


「お前が俺の馬車に乗りたいおてんば娘か?」

 不意に話しかけられて驚きながら振り向く。そこには一人の厳ついどこかで見覚えのあるおっちゃんがいた。


「あ、あなたはまさかサプポーさんでは!?」

 頭を過った疑問を口に出してみる。恐らく間違いないだろう。


「ふっ――。だれかと思えばユキオスか。数週間ぶりだな。きっと俺達は大根で繋がってるんだな」

 サプポーさんはその日焼けした腕で大根を呼び指しながらそう言った。


 ***


「隊長とは馴染みの仲でな。お互い切磋琢磨しながら剣の腕を磨いたもんだ」

 馬車を大胆に操作しながらサプポーさんはそう言う。さすが敏腕の馬車運転手。よくわからないが、さすがである。


「サプポーさんはもしかして元魔王軍なんですか?」


「おぉ、よくわかったな。でもそれは昔の話だ。今はフリーの運転手として生計を立てている」


「フリーの運転手――。なんだかカッコいい響きですね!」

 もしかしたら暗黒歩兵よりカッコいいかもしれない。そう思うとついついその気になってしまう。


「なんならお前もやってみるか。先輩のリッケンフォルゼマインダ・愛朗よしあきさんを紹介してやってもいいぜ!」


「リッケンフォルゼマインダ・愛朗さん……。誰ですかそれ?」


「馬車界の伝説運転手レジェントドライバーさ。この地域では彼くらいだろう。六頭立ての馬車を自由自在に操れるのは。そのすごさを買われて今は全国馬車事業者相互連絡協同協議会の会長をしている」


「六頭立て。そして会長……。よくわかりませんがすごいですね。考えときます」

 そんな会話をおこないながら馬車は進む。トットットッ――とリズミカルに……。


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