第68話 いったん後退
トットットッ……。
町衣紋さんがまるで舞踏会の主役のような感じで華麗に舞いながらアグリスⅥの後方へ回り込む。肝心のアグリスⅥは俺の方へどんどん迫ってくる。
「早く――。早く――。町衣紋さん!」
その時だ。
ゴォォォン――!
鈍い音とともにアグリスⅥが止まる。そのあと、これまで聞いたことのないような鈍い音を立てながら車輪部分から煙が出始めた。
「ユキオス今だ、突撃しろ!」
「了解です――!」
町衣紋さんの声に促されつつも俺は暗黒歩兵専用ソードをアグリスの昨日制御コアに突き刺した。
ここで勝敗は決した。
「やりましたね町衣紋さん!」
「あぁ……。しかし油断するな。こいつは尖兵に過ぎない。第二派が来る前にいったん商館内へ下がるぞ」
「わかりました」
ここで俺達二人はラバイトス商会内へと後退した。
***
「だ、大丈夫かの!?」
商館内へ入るなり血相を変えたブレジデント・トムソン・剣慈慶・満遠が俺達の元へ駆け寄ってくる。彼をよく見ると少し肩の部分を負傷していた。
「俺達は大丈夫です。それより満遠さんどこに行ってたんですか。あと、肩を怪我してますよ」
「おぅ、それがなさっきワインを買いに行った時にこっちへ向かってくるガルシアヌスの部隊と遭遇してな。八割方倒したんじゃが車輪がついた大砲を見逃してしまったんじゃよその時、肩を怪我してしもうた」
「えっ……」
その時、俺達は思った。「いつの間に一人で八割方倒してしまったの……」と。
「しかし、二人とも油断はするな。ワシが倒したのは一般警務隊員ばかりじゃ。ガルシアヌス率いる武装高級エリート隊員が今、こっちへ向かっておる」
満遠さんは真剣な表情をしながらそう言った。




