第61話 ラバイトス商会
「や、やっとついたか……」
因縁の宿敵であるニコライズ・巡防司・頼勝との予期せぬ戦闘によって少々遅くなってしまったが何とか目的地のラバイトス商会に到着することが出来た。とても立派な建物だ。月の光に照らされたその偉容は一目見るものを圧倒させるくらいの力をもっていた。
入り口付近には誰もいない。さて、どうしたものか。このまま名を名乗り中に入るべきか……。きっとゴッサム隊長の名を出せば中の住人もその警戒心を解くはずだが……。
「さて、誰かのぅ――?」
俺の機先を制して中から老人が出てきた。年齢は七十歳くらいだろうか。しかし、年齢をまるで感じさせないその炎を纏った瞳は彼が強者であることを強くアピールしている。
「俺の名はマチウス・町衣紋。コフブから話は聞いている」
「そうか。待っておったぞ。ワシはブレジデント・トムソン・剣慈慶・満遠と申す。これでもラバイトス商会の会長じゃ。ぐぬぬ――。もしやお主……。ワシと同じ匂いがするのぅ」
「ふっ……。そうですね。もしかしたらあなたは私が通っていた学校のOBなのかも知れませんね」
「うむ、これ以上話すのは止めとこう。お互いのためにな」
「ですね。ここは戦場ではありません」
その後、俺はトムソンに連れられて中へ入っていった。
***
まるで貴婦人が仮面を被って舞踏会を催しそうな一階中央を抜けて二階へと上がる。横にいるトムソンの顔はとても真剣だ。
「驚いたかのぅ。ワシが率いるラバイトス商会は市政府から特別に東方貿易を任されていてな。これは儲かる儲かる」
目に炎を纏ったトムソンは微笑みながらそう言う。やはりこの男、只者ではない。俺を値踏みしている。一見知的ではない会話を投げ掛けて俺の力量を試しているのだろう。ここは慎重に対応しなければ!
「そうですね。トムソン会長のご心胆、心から畏れ入ります」
「うむ、それは東洋の言葉か。その一言だけでお主の力量が滲み出ておる。天晴れじゃ!」
「それは恐悦至極でございます」
俺は深々と頭を下げた。
***
「さぁ、入れ。お主の捜し人がそこにはおる」
「ハッ!」
ガチャリと頑丈そうなドアノブを回し中へと入る。そこにはドラガゼス元首と顔馴染みのパトリキオスがいた。
「町衣紋よよくぞ来た。元首庁舎で会えないのが心残りではあるがな」
「いえ、元首のお顔を再び拝見できて嬉しく思います」
「お主、言葉使いが変わったのぅ。昔はあんなにとんがっていたのに」
「そんな……。これはきっと同僚のユキオスのお陰です」
「そうか。あの青年は人を革新へと導く力をもっておるのぅ」
「元首、それは言い過ぎです」
「ハッハッハッ――!」
楽しそうなドラガゼスの声が部屋いっぱいに響き渡る。でも良かった。元首が無事で……。本当に!
「さて、町衣紋よ。反撃を開始するぞ。ガルシアヌスどもの好きにはさせん!」
「ハッ!」




