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第59話 町衣紋、走る!~前編~

 俺のもとに『極秘情報』が寄せられたのはちょうど高級レストラン、ベルニア・カールトンにユキオスと共に到着した時だった。情報提供者はコフブというドラガゼスの従者を務めたという青年だ。彼は俺達に『ドラガゼスは生きている』という未確認情報を伝えてきた。たしかにドラガゼスとはベルニア・カールトンのオーナーであるパロオゴスさんを通じて繋がっている。だからその彼のもとにやって来た彼の話をすぐに否定することはできない。俺はユキオス及びパロオゴスさんと相談した結果、戦力を分散させることにした。ユキオスはパロオゴスさんと共にロバート達の監視役を。そして俺は一人でコフブが言う『ラバイトス商会にドラガゼスはかくまわれている』という情報を信じてその建物へ向かった。


 ***


 ――トットットッ……。

 俺の師匠である天星制宮央魔界てんせいせいぐうおうまかいニンジャ隊の筆頭頭領ひっとうとうりょうであるオットー・龍吉たつきち辰魅乃真護浪たつみのしんごろうから直々に学んだ秘技『早歩きの術』を駆使しながらラバイトス商会へ向かう。通常速度なら約五十分は掛かる距離だが、この術を駆使すれば僅か十分ほどでつく。


「ハァハァハァ……!」

 足にプレッシャーがかかる。たぶん久しぶりにこの術を使ったからだろう。魔王立魔界ニンジャ・忍法・法律専門学校を卒業してから早二十年。本当に月日というものは早いものだ。


 その時だ!


 ――シュッッ………。

 足に何かが当たる。時を同じくして俺は階段から転げ降りた。

 すぐに体勢を立て直して足を見つめる。これは……。吹き矢で使う矢だ。ま、まさか――。


「久しぶりだな。町衣紋。俺の顔を忘れたとは言わさんぞ!」

 目の前で仁王立ちする男は俺に向かってそう言った。


「お、お前はまさか――。ニコライズ・巡防司じゅんぼうじ頼勝よりかつか!」


「ハッハッハッ――。そうだ。それにしてもロバート殿は天才だ。念のためにパゴ地区に警戒線を張ってとけといわれて監視してればまさかの大物がかかったワイ!」


「クッ――!」

 油断した。まさかロバートめ傭兵としてニコライズを雇っていたとは。これは俺の想定外の出来事だ。


「お前を倒すために俺は傭兵隊長になった。今日でこの因縁を終わりにしようぞ!」

 そう言いながらニコライズは長距離大型滑空狙撃型吹き矢『ゲネツフライゴスゼスゴス』を大きく構えた。


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