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第54話 緊張の面会

「ぐぅ……。ぐぅ……」

 数時間に渡って元首庁舎を満喫した俺は一階ロビーのふかふかのロングソファーで寝てしまっていた。


「ユキオス様……。ユキオス様……!」

 俺を呼ぶ声が聴こえる。はて、誰だろう。


「はっ!」

 目が覚める。目の前には受付のお姉さんがいた。


「先ほど元首は帰って来ました。二十分ほどですが、面会できるそうです。ユキオス様を五階、元首執務室にてお待ちしています」


「あっ……。ありがとうございます!」

 寝てしまうとは不覚……。とは思いながらも俺は五階へと向かった。


 ***


 五階に上った後、『秘書室』を横目に見ながら『元首執務室』のドアをノックする。


「入りたまえ」

 室内から聴こえた声に導かれるように俺は室内に入った。


 広々とした元首執務室。格式高い調度品に囲まれたその中にドラガゼス元首はいた。そして、その隣に一人の男。はて、誰だろうか……。


「初めましてだな。ユキオス君。君の活躍はゴルヌス隊長から聞いている」

 元首は落ち着いた声でそう言った。年齢はだいたい七十歳くらいだろうか。しかし、年齢を感じさせないそのスマートなシルエットはとても輝いて見えた。


「よく来てくれた。あぁ、隣にいる人物を警戒する必要はない。彼はパトリキオス。私を支える首席秘書官だ」

 元首の紹介の後にパトリキオスは頭を下げる。彼はドラガゼスの秘書らしいのだが――。とても日焼けしている。この男、きっと只者ではない……!


「さぁユキオス君。立ち話もなんだから隣のソファーでコーヒーでも飲みながら話そうではないか」


「ありがとうございます。いただきます」

 俺はその嬉しい提案を笑顔で受け入れた。


 ***


「うむ……」

 元首は俺が持ってきた書簡をじっくりと読んでる。その表情からしてとても重要な事が書かれているのだろう。


「オーダーミクロガルスへの同盟要請かぁ……。ゴルヌスめ。さすがよのぅ」

 元首は天井を見つめながら一言そう呟いた。


「ユキオス君。一つ質問してもいいかな」


「はい」


「ここドミルセーエフは古来より海運貿易が盛んだ。他の大陸へも船を出している。君達若者はまだ見ぬ世界を見てみたいか?」


「そうですねぇ……。興味はあります」


「そうか。ありがとう」

 その時見た元首の暖かい微笑みがとても印象的だった。


 ***


 緊張した時ほど時間の流れは早い。時計を見るともう二十分が経過していた。


「元首殿。一つ聞いていいですか。この建物には警備の者が少ない気がしますが……」


「さすがに気づいたか。そうだ。私は常に市民と共にある。その空間に武器を持った人物は必要ない。前任者の時代、この庁舎には百人の警備兵がいた。それを私は十人にまで減らした。ユキオス君、開かれた政治に武器は必要ないのだよ」


「なんだか深い言葉ですね――。わかりました」


「元首。そろそろ御時間です」

 その時、ドラガゼスの隣に座っているパトリキオスがそう囁く。どうやら約束の時間を五分ほどオーバーしていたみたいだった。


「ユキオス君。申し訳ないが時間だ。今日の宿はどこかとってるのかな?」


「いえ……。とっていません」


「なら、この建物の隣にあるホテルを使うといい。私が紹介状を書いてあげよう」


「ありがとうございます。そのお言葉に甘えようと思います」

 俺は元首の気遣いに感謝しながらそう言った。


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