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第51話 安らぎと驚きのコーヒー~隊長の視点編~

「ふぅ――」

 昼下がりの午後。今日はトリプルモカブルーでコーヒーを楽しむ。この時間、この一時ひとときこそ俺の正義時間ジャスティスタイムだ。窓を被うブラインドから射し込む太陽サン。瞳を閉じると浮かび上がる永遠珈琲エターナルコーヒー


「うむ。非の打ち所がない。完璧マスターだ」

 俺はそう呟く。

 しかし、心配事がまったくないと言えば嘘になる。実は最近、歯が痛いのだ。特に前歯……。あまり考えないようにしているがどうしても心の奥で考えてしまう。そう、歯のことを――。


「ダメだダメだ。休憩終わり。よし、仕事に集中しよう! まずはこの書類を片付けないと」

 そう言いながら俺はペンを強く握った。


 ***


 ――トントントン。

 ドアがノックされる。せっかく歯のことを忘却して仕事に集中できた途端これだ。悲しみが心の中でダンスを踊る。


「誰だ?」


「マチウス・町衣紋まちえもんです」


「入れ」


 ――ガチャ。

 しばしの静寂の後、町衣紋が室内に入ってくる。その表情は真剣そのものだ。


「どうした町衣紋大尉。その真剣な顔はキミらしくないな」


「おたわむれを止めてください隊長。実は特別高等調査局から内偵報告電報が来ています」

 珍しく丁寧な敬語を使いながら町衣紋はそう言う。


「そうか――。ではやはり……」


「はい。ロバートは勇者迎合派ゆうしゃげいごうはです」


「うむ……」

 その時、俺は静かに目を閉じた。


 ――勇者迎合派というのは文字通り勇者一派の思想に共鳴し魔王様が統治する国家体制を転覆しようとしているわば反乱分子達の通称である。彼らは裏で活動しており今だその全貌は掴めていない。


「色々確認したいことはあるが――。ズバリ聞こう。ロバートは今何をしようとしているんだ?」


「はい。ドラガゼス元首げんしゅが保持しているとされる紫錫司ししゃくしのマントの奪取です」


「何――!?」

 その時、俺は手に持ったペンを落としてしまった。紫錫司ししゃくしのマントといえば元首が元首であることのあかしでありその存在の証明。もし魔王府の領域でない自由都市ドミルセーエフでそんなことが起きれば大変なことになる。いや、犯人が魔王府の者と断定された場合、最悪『開戦』という事態も考えられる。


「町衣紋。またキミを頼りにしてもいいか?」


「もちろんです。開戦ともなれば畑は荒れ果て作物は火に包まれる。ロバートの謀叛むほんは必ずや私がこの弓に誓って止めて見せます」


「よろしく頼む。幸いな事に今、ドミルセーエフにはユキオスがいるはずだ。彼と協力して必ずやロバートを止めてくれ」


「分かりました。では、さっそく向かいます」

 そう言いながら恭しく町衣紋は敬礼をした。


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