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第49話 そうだ。ヒッチハイクをしよう②

 ガタッ――。ゴトッ――。

 馬車は石畳の道を進む。魔王府による西部地域特進統合道路整備計画により見違えるように道路が綺麗になったのだが、それでもまだこの先は所々工事中らしい。そのために工事スタッフを時々見かけるようになってきた。


「自己紹介が遅れたな。俺の名前はサプポー。馬車の運転手だ」


「サプポーさんですか。私の名前はユキオスです。農場で働いてます」

 とりあえず軽く自己紹介をおこなう。


「ところでキミはドミルセーエフに何しに行くんだ?」


「お使いとバカンスです。移動手段はヒッチハイクですが……」


「おぉ、そうか。ドミルセーエフは良いところだ。ワシもたまに遊びに行くが行ったら帰ることをついつい忘れてしまう。それに――」


「それになんですか?」


「綺麗な女性が多い」


「それは楽しみです」

 その時、俺は即答した。


 ***


「おい、若造。残念だがここが旅の分岐点だ。ワシはこれからカンボーゴの町へ酒を届けないといけない。だから――。悲しいがお前にはここで降りてもらわないといけない」

 ぶっきらぼうにサプポーさんがそう言う。彼の顔はどこか不思議と寂しそうだ。


「いえ……。ここまで乗せていただきありがとうございました」


「また会えたらいいな。若造」


「そうですね」

 この言葉を最後にして二人は別れた。


 ***


 太陽の光を背中で感じながら俺はひたすら歩く。地図マップによるとこの先にニキ村があるはずなのだが……。


 その時だ。


 ――トットットッ……。


 軽快なリズムで『何か』が接近してくる。誰だろうと思い後ろを振り向くとそこには馬に乗ったロバートさんがいた。


「あっ!?」

 予期せぬ偶然の再開に驚く俺。一方のロバートさんはまんざらでもない様子だ。


「おぅ、ユッキーこんなとこで会うなんて奇遇だな。もしかしてお前歩いてドミルセーエフの町へ向かう気じゃないだろうな?」


「ご名答です。ロバートさん。あなたはまだ自分探しの旅の途中なのですか?」


「おうよ。目的地のない旅だ。乗るか相棒?」


「ふっ……。実はその言葉を待ってました」


 予期せぬ休職中の同僚との再開に胸踊るユキオスなのであった。


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