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第46話 海港都市ドミルセーエフへ

「ユキオス君。お疲れ様だ。なに遠慮はいらん席へ着いてくれ」

 隊長が微笑みを浮かべながらそう言う。昼下がりの午後、俺は隊長執務室へ呼ばれた。理由はなんとなくわかる。どうせまたいつもの『隊長権限命令』があるのだろう。


「この前の活躍見事であった。ヒカリちゃんの件はまた今度にお預けになったがこればかりは仕方がない。そんな君に頼みがある。もし良ければ休暇も兼ねて海港都市ドミルセーエフへ行ってみないか?」


「えっ――!?」

 その時、俺は驚きのあまり口が開いたままになってしまった。


 海港都市ドミルセーエフと言えばこの農場から一番近い港町である。近いと言っても馬で駆けて半日ほど掛かるが……。温暖な気候に恵まれた好条件の元で人民は生活しており、近海でとれる海産物資源と相まってとても豊かな町である。観光地としても有名でこの時期はとくに多くの人民が町を訪れている。


「ほ、本当に遊びに行っても良いのですか隊長?」


「もちろんだ。大いに楽しんできてくれ。その代わり一つお使いを頼んでもいいかな。この小包を元首げんしゅのドラガゼスさんに届けてもらいたいのだ。いいかな?」

 そう言いながら隊長は包み紙で包装された荷物をデスクの上に置く。


「ドラガゼス元首にですか。わかりました」


「うむ、よろしく頼む。私からのお願いは以上だ」


「了解です。内容を受領しました」

 そう言いながら俺は隊長に敬礼をした。


 ***


 翌朝、足早に荷物をまとめた俺はドミルセーエフへ向かうべく馬小屋に向かった。歩いて行けるような距離ではないので馬を使うことにしたのだ。

 隊長から許された休暇日数は五日。行きと帰りの合計が約一日分くらいだから実質四日ほどか。現地でのんびり過ごすためにも行きと帰りは急がねばならない。


 ――トントントン!

 馬小屋管理事務所の扉をノックする。リコさんがいてくれれば良いのだが……。


「おぅ、誰だと思ったらユキオスか。どうしたんだい?」

 約十秒後、リコさんが眠そうな顔をしながら出てきた。


「リコさんおはようございます。実は馬を一頭貸してもらいたいのですが……」


「なんだって……。あぁ、もちろん良いよ。農場一の出世頭のユキオスに馬を貸さないと隊長に怒られちゃうよ。こっちへ来な!」

 俺はまるでリコさんに導かれるようにして馬小屋へと向かった。


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