第37話 破壊指令!魔弍空兵備装ヤーサナ・フール⑤
「善蔵さん――。超絶戦術形式ってどういうことなんです?」
「うむ、正直言ってワシも驚いとる。まさか超絶戦術形式搭載型の魔弍空兵備装とは……」
口を大きく開けながら善蔵さんはそう言う。今、自分がおかれた状況が詳しく理解できないのだが、かなり危険が迫っているということだけは理解した。
「町衣紋よヤーサナ・フール上部先端のリトルコアを狙え。それでヤツの機能は停止するはずじゃ!」
「リトルコアってあの小さくオレンジ色に光ってるやつか!?」
「あぁ、そうじゃ。早く!」
「わかった。任せろ!」
そう言うなり町衣紋は矢じりをヤーサナ・フール上部先端に向けて矢を放つ。遠目からでよく分からないがどうやら目的の部分に命中したようだ。数秒後、ヤーサナ・フールは聞いたことのないような擬音を辺り一面に響かせながらその活動を止めた。
「善蔵さん――。今度こそやりましたか?」
「油断は禁物じゃがどうやらそのようじゃ。フィールドを展開している気配もない」
頷きながら善蔵さんはそう言った。もしそうなら俺達の勝利なのだが……。
「町衣紋どこでもいいからもう一発撃ってみい」
「もう一発ですかい。この弓矢特注品だからけっこう値が張るのに」
「まぁ、そう言うな。物は試しじゃ」
「はいはい……」
そう言い終わるなり町衣紋はもう一発発射した。その一撃で完全にヤーサナ・フールは破壊された。
――ジジギュュダゴ……。
言葉で言い表せないような擬音を響かせながらヤーサナ・フールはバラバラに砕け散った。
***
今後の研究用にと砕け散ったヤーサナ・フールの部員を数点回収し俺達は山を降りた。農場に帰ったらすぐに隊長に提出する報告書を作成しなければいけない。そう思うと少し心が暗くなった。
「ユキオス、そして町衣紋よ。今回は本当によくやった。ヤーサナ・フールは君達の努力によって破壊された。これで魔界イノシシも山に帰ってくるじゃろう」
「善蔵さんもお疲れさまでした。あと町衣紋さん来てくれてありがとうございます」
「なに、良いってことよ。この件で俺の謹慎も解除されたしな!」
満面の笑みを浮かべながら町衣紋さんはそう言った。そのステキな笑顔がとても印象的だった。
***
魔界イノシシが山裾に降りて来た理由は解明しその原因も破壊した。これで山に平和が戻ればいいのだが……。とりあえず当分の間は魔界大根が魔界イノシシに食い荒らされることは無さそうだ。




