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第33話 破壊指令!魔弍空兵備装ヤーサナ・フール①

「ユキオス伏せろ――。あれが見えるか?」

 善蔵さんの声で俺はハッとなる。彼が指差す方向、前方百メートル地点のところに大きな杖が地面に突き刺さっているのが見える。


「恐らくあれが魔弍空兵備装ヤーサナ・フールだ」


「接近してみますか?」


「いや、待て。ダメだ。いにしえ民人たみびとムルパッチ・アーラバシ族の伝承によるとヤーサナ・フールは目に見えない強力な超高高出力聖磁場ちょうこうこうしゅつりょくセイントじばフィールドを周囲に展開しているはずだ。フィールドに当たるとどうなるかわからんぞ」


「近づけないというんですか――。ならどうすれば?」


「うむ。しばし待て。ワシはこう見えて読書家でな。今日もリュックの中に古代の伝説の紹介と解説を記した古文書『ラニバル・カナパニース文書』を持参しておる」


「――!?」

 その時、俺はあまりにも驚きすぎて声が出なかった。

 ――ラニバル・カナパニース文書といえば知る人ぞ知る貴重な古文書である。この古文書を書いたせいフルマグゴニサニス・ハーニスルは別名『千の物語ストーリーべる男』とも言われており、その知識をまとめて記したのがこのラニバル・カナパニース文書になる。ちなみにラニバル・カナパニースというのは古代ラッナシュッ語で知識・伝達という意味である。


 ――ゴソゴソ……。ゴソゴソ……。

 善蔵さんがヤーサナ・フールについて調べ出してから早二十分ほどが経過した。


「うむ、ユキオスよ。やはり破壊方法は部分的長距離高威力射撃によるマスターパーツの破壊しかない。ヤーサナ・フールは超高高出力聖磁場ちょうこうこうしゅつりょくセイントじばフィールドを展開できる半面、遠くからの物理的攻撃にはすこぶる弱い」


「その前に善蔵さん。マスターパーツってなんです?」


「オメェあれがよく見えねぇのか――。マスターパーツというのはヤーサナ・フールの中央左側のきらきら光ってる部位の少し下だ!」


「――!?」

 いや、見えない。見えないよ善蔵さん。もう少し分かりやすく説明してくれ。なに、どれだよきらきら光ってる部位の少し下って。基本的に杖全体がきらきら光ってるよ。いや、俺には分からない。


「どうだ……。ユキオスわかったか?」

 数秒後、善蔵さんは凄まじい目力めじからを込めた瞳で俺に対してそう言ってきた。


「あっ――。わかりました」

 その時、俺は嘘をついた。でも、こういう時は仕方がない。とりあえずわかったふりをしておこう。


「さすがユキオス。俺が見込んだ強者きょうしゃだけの事はあるな。よし、試しにオメェが所持している信号拳銃で先制攻撃ファーストアタックを決めろ!」


「――!?」

 その時、俺は思った。『どいつもこいつも俺の力を過剰に評価してるな。善蔵さん……。そりゃ無理な話だぜ』と。


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