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第20話 ユキオス救出作戦②

「優しいゴーレムさん夜遅くで申し訳ない。急患きゅうかんだ。事は急を要する。一緒に対応してもらいたい」


「急患って――。ユキオスじゃないのさ、どうしたんだい!」

 目を大きく見開いて驚く優しいゴーレムさんを横目に俺はぐったりしたユキオスをベットの上に寝かした。


「おい、ゴルヌス隊長説明しな!」

 優しいゴーレムさんは夜中に起こされた怒りを込めたような口調で俺に向かって疑問を投げ掛ける。医務室を自分の部屋のように使ってるからこうなるんだと強く思いながらも俺は丁寧に事の顛末てんまつを伝え、魔界電報まかいでんぽうをマシニッサ先生に向けて打電するように頼んだ。


 ――ゲオルギオス・ファンダンゴマス・マシニッサ。この近辺ではかなり有名な医師である。魔界ヘビへの知識も豊富で『魔界ヘビのもつ医学的見地から見る専属的可能性とインフィニティの彼方あした』という題名で魔界動物学会での論文発表経験もある。彼なら魔界ヘビと融合シンクロしたユキオスを救うこともできるだろう。たぶん。


「ゴルヌス隊長、早くユキオスを救いな。私、明日は朝から女子会じょしかいがあるんだよ!」


「優しいゴーレムさん申し訳ない。今日は俺の部屋で寝てもらえないだろうか。その代わりマシニッサ先生への電報よろしく頼む」


「あいわかったよ。ユキオスは大切な仲間だからね。仲間を救った後、女子会に行くよ!」


「では、よろしく頼む」

 俺は頼もしい優しいゴーレムさんに向かって笑顔で敬礼をした。マシニッサ先生が来るまで最短で約一時間。その間、俺は最善を尽くそう。


 ***


「うむ、熱が下がらんな」

 冷やしたタオルをおでこに置いてもすぐに熱くなってしまう。かなりの高熱のようだ。


「う、うぅ――」

 ユキオスはかなり苦しんでいる。この医務室には置き薬もあまりなく応急手当の手段も限られている。早く主人公ユキオスを助けたいのだが、やはりマシニッサ先生の登場を待つしかないようだ。


「よし。頑張れよ、ユキオス。これを乗り越えたら暗黒騎士になれるぞ。たぶん」

 その時、急にのどが渇いた俺は冷たい麦茶を飲むために医務室を後にした。


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