第18話 ポンプ室サバイバル~激闘編~
「いる――。いるぞ!」
懐中電灯の光に照らされた魔界ヘビはとぐろを巻きながら俺をその鋭い眼光で睨み付けている。体長は三メートル以上ありそうに見える。正直、隊長が言っていた個体より大きい。
「シャ――!」
奴は舌をちらつかせながら俺を挑発してくる。
「やはりいたか――。しかし!」
俺は隊長直伝の棒を腰に構える。目標はもちろん魔界ヘビの顔面だ。
「てい!」
機先を制したのは俺の方だった。
俺が投げた棒は勢いよく魔界ヘビに当たり奴にダメージを与える。棒の有効活用方をいろいろと検討した結果、俺が選んだ使い方は――投げる。だった。
「ジャー!」
魔界ヘビはぶちギレたような表情で俺を威嚇してくる。ヤバい。怒らしてしまった。
「くっ――。どうする俺!」
魔界ヘビはとぐろを巻くのを止めて俺に接近してくる。奴の動きはとても俊敏で思わず俺は虚空を見つめた後、一歩また一歩と後退りした。今、使えそうな護身用具は催涙スプレーと鈴しかない。
――プシュー!
まず俺は催涙スプレーを使った。噴射音と共に白い煙が魔界ヘビに襲いかかる。
「やったか?」
正直、手応えはあった。白く鋭い煙が魔界ヘビに直撃したからだ。
数十秒後、煙のモクモクが薄まり視界が回復する。
そこには元気いっぱいの魔界ヘビがいた。
「いや、全然効いてないやんこれ」
正直、この催涙スプレーには期待してたのに。それなのにまるで奴には効果がない。心理的に落ち込んだ俺は奴に追い詰められ入ってきた扉付近にまで後退した。
「隊長開けて下さい。ギブアップです!」
鉄扉を強く叩きながらそう隊長にコンタクトメッセージをおくる。
「……。」
ゴルヌス隊長からの応答はない。
「もぅ、あの人は本当に!」
魔界ヘビの恐怖よりも隊長への怒りが込み上げてくる。
「隊長もう出ますからね!」
俺は姿の見えぬ隊長にそう言いドアノブに手をかけた。
――ガチャガチャ
「あれ、開かない」
嫌な予感が脳裏を過る。もしかしてこの扉壊れてるのか。
「いや、ヤバイやん。これ。しかし!」
――チャリンチャリン!
俺は振った。全力で、最後の切り札である鈴を。そして一握りの愛を込めて。薄暗い室内に鈴の音が響き渡る。これを振って何が変わるのかは正直、分からない。でも、俺は振りたかった。もうこれしかないのだから。
その時、不思議な事が起こった。魔界ヘビの視線が鈴に釘付けなのだ。
「えっお前これ好きなの?」
「シャー!」
魔界ヘビが頷く。
この時、俺とヘビとの完全心が繋がった。もしかしたら鈴をきっかけにしてお互いの魅力に気づいたのかも知れない。
「な、何!」
数十秒後、俺は不思議な光景を目にした。ヘビが光輝いているのだ。
「――この光はなんだ。まさか!」
俺はある可能性に気がついた。しかし、答えを導き出す前にその幻想的な光に呑み込まれた。




