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第185話 隊長の考え

「で……。隊長はどうするんですか?」

 俺はふかふかのソファーに座りながらそう言った。ニコライズとの会談から早くも三時間。俺と隊長、そしてナナセさんはニコライズに案内されたある部屋の一室にいる。ちなみにトレンゴフ・柴田さんは急な腹痛のためさっきからトイレに行っている。


「うむ……。ニコライズ率いるボンズゴフ市民軍一派に同調するつもりはないが状況が状況だ。要するに、我々が最初に放つべき矢が別の人物によって放たれてしまったようなものだ」


「ティグラノケルタスは動くと思いますか?」


「それは間違いない。魔界国家の盟主が有力同盟都市離反に手を打たなかったら天下の笑い者だ。ただすぐに魔界国家条約機構軍の編成はない。魔界国家軍が動くには、盟主であるティグラノケルタス発議による臨時中央軍事同盟会議による承認が必要だ。手間も時間もかかる。それよりもまずはティグラノケルタスの軍勢が動くだろうな……」


「そ、それってーー。内乱になるの?」

 紅茶を一口飲んだあと、ナナセさんがそう言った。


「それは……。ボンズゴフの出方次第だな。独立宣言の後、ボンズゴフがパルメクルをすぐに頼れば、それこそ、魔界国家対パルメクルの正面からの対立構図が出来上がる。まぁ、ニコライズが委員長のボンズゴフじゃあそれも時間の問題だろう」


「じゃあ、私達はこのままボンズゴフにいたら反逆者ってことよね……」


「たしかにそうなる。しかし、それは好機でもある」

 ナナセさんの問いに隊長はハッキリとした声でそう言った。


「我等、農場をはじめとして現在の魔王府最高指導部に疑念を抱く者達は数多くいる。もしも、今回の事案に対しての魔王府の行動が失敗に終わればそれは現最高指導部の権威の失墜に繋がるわけだ。要するにどう転ぶか分からない」


「ボンズゴフに来る軍勢の指揮官の行動がカギを握っているとも言えますね」


「うむ……。ユキオスの言う通りだな。ただティグラノケルタスも魔界国家の盟主。かなり手強い指揮官を送って来るだろうな」


「じゃあ隊長さん、私達は結局どうするのーー。ニコライズは自由ボンズゴフ市民軍に協力してほしいって言ってたけど?」


「ハルジル・タイプモォルホルドンを使って我々を攻撃しておいて次は協力してくれとは不思議なことを言うものだ。ニコライズはこの件はパルメクルの内部対立の結果だと言ってたがどうだか……。だが、この件を我々農場派が利用することは十分可能だ。ボンズゴフ市民軍に協力してティグラノケルタスの軍勢を待ち構えて膠着状態こうちゃくじょうたいに持ち込み、結果的にボンズゴフを独立させる」


「それって……。隊長さんの狙いはどこにあるの?」


「魔界国家の盟主ティグラノケルタスの威信を低下させるのが狙いだ。例え独立後のボンズゴフがパルメクルに後ろ楯を求めたとしても手は考えてある。要はこのボンズゴフ騒動を我々農場派が利用するのだ」

 隊長はそう言った後、紅茶が入ったグラスを強く握りしめた。どうやらゴルヌス隊長はボンズゴフと魔界国家を利用して漁夫の利を得るつもりのようだ。


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