第17話 ポンプ室サバイバル~探索編~
「ユキオスここがポンプ室だ。警戒を怠るなよ」
大きく錆び付いた鉄の扉が俺達の前にはある。ゴルヌス隊長の警戒を呼び掛ける声が俺の注意力を極限にまで高める。
「まずこのドアを開けて第二区画を目指せ。第二区画には操作パネルがある。さて、肝心の操作手順だがこのメモを参考にしてほしい」
そう言った後、隊長は俺に一枚のメモを手渡した。
「最後にユキオスよ、もしもの時はこれを使え」
「隊長これは?」
「鈴だ。危険を感じたら思いっきり振れ。そして叫ぶんだ」
「はぁ――。なんか鈴の意味がないような気がしますが」
「ユキオス、ネバーギブアップ!」
隊長の甲高い声が廊下に響いた。
***
「ガチャ――」
胸のドキドキを抑えながら俺は室内をキョロキョロと見回す。中はとても薄暗い。所々にパイプ菅が張り巡らされており、まるで迷路のようだ。
「予想以上に暗いな」
懐中電灯が照らす先を注意深く見ながら俺はゆっくりと歩を進める。
「どこだ、どこにいるんだ魔界ヘビ!」
プレッシャーに押し潰されそうになった俺はまだ見ぬ未確認敵を挑発する。しかし、相手からの反応はない。
「ふぅ――」
手に持つ懐中電灯は予想以上に震えうまく目的地を照らすことができない。操作パネルがある第二区画へは歩いて三分ほどだが、正直動くのが怖い。
その時だ!
――ガサガサ!
前方約一メートル右の木箱隅から『何か』が蠢く音が聴こえた。
「な、何なんだこの音は」
その場所に俺の視線が釘付けになる。
「チッ――。やるしかないのか。戦うしかないのか。俺は!」
とっさに右手に持った棒を構える。かなり短いので心許ないが今更後悔してももう遅い。俺は緊張でドキドキが止まらない胸を何とか押さえつつ音の策源地に向けて歩みを進めた。
「チッヤバい。ドキドキが止まらない。この胸の鼓動を貴様に聴かせてやりたいぜ!」
よく分からない挑戦的な言葉をそこにいるであろう魔界ヘビに向けて言い放つ。正直、勝てるかどうかはわらない。しかし、やらねばならない。『今日』という日を護るために!
「さぁ、来い。勝負だ!」
その時、大粒の汗が俺の頬を滑り落ちた。