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第168話 作戦会議から始まる行動力

「皆さんまずはこれを見てください」

 応接室内に入るなりトレンゴフ・柴田は大きな地図をテーブルに広げながら俺達に向けてそう言った。これは海図だろうか、まるでボンズゴフ港付近の海洋情報が手に取るように分かる。


「ハルジル・タイプモォルホルドンが垂直落下したのはこのFー9地点です」


「それは確定情報か?」


「ゴルヌス隊長、海洋偵察局からの秘密提供情報なので間違いありません」


「ボンズゴフの市政府には何と説明してるんだ?」


「『隕石』とだけ言っております。あれだけ盛大に落ちたら隠し通すことはまず不可能ですからね。どのみちこの事案は同盟都市防衛条約第二項に該当しており、我が魔界国家に優先的対処行動が認められています」


「何だかー。ややこしい状況ですね」


「ユキオス君の言ってる通りややこしい状況です。まぁ、市政府が保有している警察軍ではパルメクルの新兵器を止めることは不可能です。武器も士気もさっぱりですからね」

 トレンゴフ・柴田は一瞬、天井を見たあとにそう言った。この点はさすが連絡調整官といったところか。おそらくパルメクルの内情を知り尽くしているのだろう。


「トレンゴフ、駐留軍は使ってもいいのか?」


「それがーー。セレルコフ中将は使うなと言っているのです」


「セレルコフ中将が……。この事案はどこまで上げてるんだ?」


「国内予備軍本部まで。参謀本部には伝えてません」


「そうか……。要するにあれを今後の取引材料に使うつもりか」


「ちょっと待ってよ。国内予備軍って何?」

 話の所々で出てくる専門用語に耐えきれなくなったのかナナセさんがそう言った。たしかに俺的にも国内予備軍が何なのかは知らない。


「国内予備軍というのは国内で起きた反乱及び暴動鎮圧を目的とした軍部隊です。ちなみに軍と言っても専用の部隊は持ってません。その都度、管区内の正規軍を予備軍に組み込みます。そして、その権限を有しているのが国内予備軍本部なのです」


「トレンゴフ・柴田、駐留軍を使えないのは理解した。ならどうやってあれを止めるのだ?」


「特殊海中スーツを着用した隊員による特別攻撃を行う予定です。爆雷を装着した槍を使った近距離近接攻撃をね。海の中なら勝機はあります!」


「それを使って間もなくやってくる第三ユニットパーツを海中破壊するということか。考えたな」


「はい、その通りです。問題は誰がそれをやるかです」


「はて、誰か名乗り出るものはおらんか。なぁ、ユキオス君?」


「えっーー。はいっ!?」

 どうしてだろう。ついつい隊長の視線から逃れようとしている。


「ユキオス、ごめん。俺は泳げないんだ」


「なら、トレンゴフさんは?」


「ユキオスさんすいません。私も泳げないのです……」

 彼は天井を見上げながら一言そう言った。こ、この展開はまさかーー。


「ユキオス、やるしかないぞ。バックアップは任せろ。全力でサポートするぞ」

 隊長が期待を込めたような瞳を輝かせながら最後にそう言った。



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