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第167話 作戦と使命感②

 ボンズゴフ港シシプス地区に駐ボンズゴフ魔界国家陸軍本部がある。陸軍本部といえば聞こえは良いが実際は総員二百人足らずの沿岸監視部隊に過ぎない。一昔前は旅団規模の人員がいたらしいが……。どうやら魔界国家の同盟都市に参加して以降続いた平和のおかげで派遣部隊も減少に次ぐ減少を重ねて今の状況になったらしい。

 そんな状況での今回の不審事案。そんなことを考えてしまうと不安しか頭の中に思い浮かんでこなかった。


 ***


「ここですか?」


「あぁ、そうだ。ここが陸軍本部だ」

 目の前には立派な赤レンガ造りの建物が建っている。それも二階にはバルコニーがある感じのやつだ。


「隊長、意外としっかりとした建物なんですね」


「ここは一応、ボンズゴフとの交流窓口にもなっているからな。さぁ、入ろうか」


「えっ、そんなに簡単に入れるんですか?」

 驚いた口調でナナセさんはそう言った。まぁ、たしかにそれもそうだ。俺も隊長に同じようなツッコミを入れようとした時だった。


「ナナセさん安心して下さい。ほら、入り口に俺達を導く男が立っている」

 その瞬間、目の前にいた男がこちらに気づいたのか早足にグイッと近づいてきた。


 ***


「いや~お待ちしておりました。ゴルヌス准将!」


「フッ――。准将の地位は捨てたさ。今は農場守備隊の隊長だ。まぁ、いい。ユキオス、ナナセさん紹介しよう、彼はトレンゴフ・柴田しばた。ここで大尉の軍事称号を保持したまま同盟都市間連絡調整官として勤務している。安心しろ、信用できる男だ」


「准将から話は聞いています。お二人さんよろしく!」


「トレンゴフ、だから准将ではなくなったと言っているだろう」


「私の心の中では永遠の准将ですよ。准将は奴等にはめられたことは周知の事実です。あなたが決起するのを同志一同、今か今かと待っているのですよ!」


「ここでその話はやめておこう。誰がどこで聞いているかわからない」


「そうですな――。これは失礼、お二人さん今の話は忘れて下さい!」

 トレンゴフ・柴田は満面の笑顔を浮かべながらそう言った。それにしても彼はとても軍人とはいえないような体格をしている。要は比較的太っているということだ。しかし油断できない男だというのは間違いなかった。


「トレンゴフさんはどこまで事態を把握してるんですか?」


「あなた達並に、とでも言っておきましょうか。しかしここからが重要です。この件はボンズゴフの市政府には知られてはなりません」


「それは――。なぜ?」


「未来のため、とでも申しておきましょうか。詳しい話は中でしましょう。応接室を用意してます」

 トレンゴフはどこか含みを残した言葉を要所要所で挟みながら俺達に向かってそう言った。


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