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第154話 逃げる勇気~プロセスのその先に~

 さっきから約五分ほど走って逃げているのだが、まだ鉢巻き角刈りおばさんの気配を後方から感じる。それもびんびんに。ここまでの覇気を感じるということはやはりあのおばさんは――。


「ちょ、ちょっと待ってよユキオス君。どうしたの?」

 隣で一緒に走っているナナセさんは息を乱しながらも俺にそう言ってくる。個人的には一刻も早く彼女にこの身に迫る危険を伝えなければならないのだが残念なことに状況がそれを許さない。


「と、とりあえず今は何も聞かないで。ナナセさんの言った通りあの鉢巻きおばさんは強者ベテランだ。今の俺じゃあまるで勝てるきがしない」


「ね、やっぱり私の直感が当たってたでしょ。相手の目を見た瞬間、全てを察したわよ。ユキオス君、とりあえず今はパルメクル出国を優先させましょう。カエル化した二人の容態も心配だし」


「わ、わかりました――。とりあえず港湾ビルまではきっと来ないでしょう。あのおばさん、人通りの多いところは苦手って言ってたから大丈夫です!」

 後ろを振り向くとすでにあのおばさんは見えなくなっていたが、念には念を。用心には用心をだ。

 そして俺とナナセさんは走るスピードを上げた。


 ***


 ルルコニスタイン港湾ビルの十歩前で俺とナナセさんは上がりに上がった息を整える。不安になりながらも後ろを振り向くと幸いにも鉢巻きおばさんはいなかった。


「ナナセさん、なんとか巻いたようですね……」


「そのようね――。あのおばさんいったい何者よ、マジで足早いんですけど!」


「おそらく最高暗黒執行者キオ直属の特務部隊に所属する強者ベテランです。向こうもついに本気になったようです」


「あなたが言ってたロバートさんの関係者なの?」


「そこが難しいところです。あのおばさんは独断でやって来た的な事を言っていました。もしかしたらロバートさんの指揮命令系統には属してないのかも……」


「ならその最高暗黒執行者キオと勇者迎合派から名前を変えたロバート一派は必ずしも一つの組織ではないということね?」


「お互いの存在を利用しているという可能性もあり……。ですね」


「ならそこに私達がつけ入る余地がありそうね」

 小悪魔的な笑みを見せながらナナセさんは俺に一言そう言った。


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