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第147話 カエルだからこそ④

 自室へ戻り一呼吸。今日もいろんな出来事があった。まるで収穫前のスイカのような心境だ。それに最近腰が痛い。もしかしたら腰の使いすぎなのかもしれない。

 とりあえずロバートさんの『提案』は拒否した。それに対する彼からの報復は『ない』といっても過言はないだろう。

 勇者を信奉するふりをして勢力を拡大するロバート一派。カエルになった二人。そして反乱渦巻くパルメクル。

 悩みの種は尽きることがない。


「――。帰るの遅かったのね」

 ナナセさんがそう言いながら奥から出てきた。その様子はどこか眠そうだ。髪がしっとりと濡れていることからするとどうやら風呂上がりなのだろう。


「ナナセさん、このホテルにロバートさんがいた」


「ロバートさんってあなたが前に言ってた元同僚の?」


「うん、そう。奴等の裏には暉隕きおと呼ばれている人物がいる。恐らくヤツが真の黒幕だ」


「ロバートさんはあなたになんて言ったの?」


「仲間になれって。もちろん断った。折り込み済みだったのだろう。ロバートさんは別段驚いた素振りは見せていなかった」


「そう……」

 ナナセさんは濡れた髪をタオルで拭きながらベットの方へと向かう。おそらく眠たいのだろう、その状況でこの快適なくつろぎ空間。眠たくなるのも無理はない。


「カエルになった二人だけど――。治療はあなたに任せてもいいのね?」


「うん。アレクサンダーゼ・トミコさんにお願いしてみるよ。ロバートさん達は彼女の存在を知らない。これは奴等にとっては盲点ともいえる事象ともいえるね」


「じゃあお願いね。とりあえず早く魔界国家に帰りたいわ。農務視察も北部反乱軍のおかげで中止になり極めつけは二人のカエル化。幸いにもあなたと私は今のところ無事だけどこれから先はわからないわよ」

 ナナセさんは愚痴ともいえるつぶやきをポロポロと言いながらベットの上に横になった。

 それにしても彼女のパジャマ姿は絵になる。然り気無くすその部分をめくっているところも非常にグッドである。このまま流れに任せて俺もベットインなどとも考えたがそれは完璧な理論セオリーではない。こういうときは慎重に行動せねば……。


「ユキオス君、あなた変わったわね」


「えっ――。どこがですか?」


「私にたいして敬語を使わなくなったところ。そういうとこポイントが高いんだから」

 そう言いながらベットの上からこちらを見るナナセさん。

 彼女の髪はもうすでに濡れてはいなかった。


「ねぇユキオス君、『誰か』を忘れてないかしら?」


「忘れてる……。あっ――。そう言えば使節団は五人でしたね。あの人のことを僕達は忘れている!」


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