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第140話 同志の動詞

 グリーニン同志が言った言葉に驚愕する俺。まさかロバートさんがこの地でパーティーを作っていたなんて……。コソコソと隠れるのではなく、大胆な行動をとる。そこら辺はさすがである。


「グ、グリーニン同志、ロバートさんの話をもっと聞かせてくれませんか!?」


「それはプライバシー保護の観点から話すことはできません。それに花粉症ですので――」


「えっ!?」

 この期に及んでプライバシーとは……。世も末である。あと、花粉症は関係ない。


「そう言わずにそこをなんとか――!」


「着きました」


「えっ!?」

 会話に夢中になってしまい気がつかなかったがどうやら目的地のホテルに着いたようだった。


 ***


「このソバゴザ・クッバルザダ・アガットホテルは質素な雰囲気ながらもここルルコニスタインでは一二を争うようなホテルです。既にこちら側であなた方のお部屋は取ってありますので。ナナセさんは302号室。ユキオスさんはン・ゴスのになります」

 エントランスを抜けてカウンターに着くなりグリーニン同志はそう俺達に説明し出す。しかし俺が泊まることになるン・ゴスの間ってなんだよ。疑問しか湧いてこない。


「グリーニン同志、ンゴスの間ってなんですか?」


「正確にはン・ゴスの間です。気をつけて下さい。ン・ゴスとは古代ジャラルファラステ語で『知恵のある者』を意味します。実は少々お高い部屋なんですよ。ふふっ!」

 若干照れながらグリーニン同志はそう言う。照れるタイミングを完全に間違えてるような気もするが……。そこはあえて指摘しないでおこう。こういう時こそ冷静かつ落ち着いた対応が必要なのだ。


「グリーニン同志さん、ン・ゴスの間は広いのかしら?」


「ナナセさんでしたかな。普通の部屋より広いですよ。普段はなかなか予約できない部屋なんですが運よく今はオフシーズン。ユキオスさんは本当に運がいい」


「よし、決めた。グリーニン同志さん、私も同じ部屋に泊まるわ。ユキオス君いいわよね?」


「えっ――。俺は良いですけど……」

 予想外のナナセさんの提案にドキドキする俺。ちなみに女性と同じ部屋にお泊まりするのは初めてである。


「お二人が同じ部屋にですか。こちらとしても別に問題はないですが。ちなみに夕食は午後七時からです。炒飯食べ放題ですので」


「その前に――。理事官(団長)とゴバルドーさんにはいつ会えるのかしら?」


「いつでもどうぞ。先にここに着いたお二人はそれぞれの個室で休んでいる頃でしょう。詳しくはホテルスタッフに聞いてみて下さい」

 ナナセさんとグリーニン同志の会話が俺の耳を通り過ぎていく。その時の俺の頭は『ナナセさんと一緒にお泊まりできる』という言葉でいっぱいになっていた。


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