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第136話 交流館とパルメクル

 ルルコニスタイン港。パルメクルの外港としての機能を併せ持ったこの港にはたくさんの外国由来の品々が集まる。だからなのかこの港の雰囲気は他の都市に比べると幾らか開放的な雰囲気に満ち溢れていた。

 しかし、それはあくまでも表の顔。ひとたび裏路地に入るとルルコニスタインの闇の部分が顔を覗かせていた……。


 ***


「ユキオス君、後ろの黒い帽子を被った人に気をつけて」


「えっ――」

 交流館へと向かう道中、不意にナナセさんが俺にそう言ってくる。


「ナナセさん、どういうことでふか?」


「まずは息を整えてね。語尾がおかしなことになってるわ。あの帽子を被った男……。あれはパルメクルの監視員よ」


「監視員――!?」

 ナナセさんの一言に驚く俺。しかしここは独裁国家パルメクル。俺達の行動が監視されていても何ら不思議はない。


「おそらく国家正制警防保安部の者ね。どうりで小高さんが私達を二人で行かせるわけよ」


「そ、そんなカラクリがあったとは……。一見すると俺達は今自由行動をしているけど、実は違うという訳ですね」

 ナナセさんの一言は重大な意味をもっている。この際、オ・ダさんだろうが小高さんだろうが最早もうどっちでもいい。


「とりあえず私達の目の前に見えるあの交流館に入りましょう。今はそれしか選択肢がないわ」


「そうですね、行きましょう」

 後ろからの鋭い視線が気になりながらも俺とナナセさんは交流館へと再び歩みを進めた。


 ***


 近づけば近づくほど交流館の偉容が俺達の目に飛び込んでくる。まるで一流ホテルのような外観だ。それにその建物を包む白い漆喰の壁がとても美しく感じる。


「ユキオス君、あの人……」

 ナナセさんが建物の入り口を指差す。そこにはモスグリーンのスーツをビシッと着た一人の男が立っていた。


「お待ちしてましたよ、魔界国家農務使節団の御二人様」

 ニヤリと不敵な笑みを浮かべながらその男はこちらへと近づいてくる。どうやらこの男が俺達の次のエスコート役のようだ。


「初めまして。俺はユキオス。隣の女性はナナセさんです。あなたは――?」


「私はマゴ。ここルルコニスタインの外務委員兼パルメクル中央代表者会議の代議員を務めている者です。まずは中へどうぞ」

 自らをマゴと名乗る男。一目見ただけでも彼が『重要な使命』を背負っているのがよくわかった。


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