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第12話 ユキオス潜入作戦②

 ロッカーに身を潜めてからどのくらいの時が経ったのだろうか。気がつけば日は落ち辺りを静寂が支配するようになっている。それにしてもアントニウスさんからの合図がない。個人的にはもうそろそろこの中に身を潜めるのが限界に近づきつつあるのだが。

 こうしている間に少し状況を整理する。まず魔界大根横流し事件にバルム中尉が一枚噛んでいることは間違いないだろう。アントニウスさんの証言もある。あとは証拠が必要だ。『言葉よりも根拠を』このフレーズが頭の中を支配していた。


 ――トントントン!


 今、たしかにロッカーを叩く音がした。間違いない。アントニウスさんの合図だ。その音に導かれるように俺はロッカーの扉を開けた。


 その時、俺は一瞬自分の置かれている状況が呑み込めなかった。目の前には四人の人影。その内の一人は仲間になったはずのアントニウスさんだった。彼はどこか後ろめたそうな表情をしている。


「キミかね? 私のことをぎまわっていたのは?」

 俺から見て中央に立っている軍服を着た男はニヤリとしながら一言そう言った。よく見ると彼が着けている階級章は中尉のものだ。


 ――と言うことは彼がバルム中尉か!?


 ――しまった!? 俺は罠にかかったのか!?


「気づくのが少々遅かったな!」

 そう言いながらバルム中尉は腰に下げたホルスターから魔式拳銃を勢いよく引き抜き俺の頭に向けてきた。


 ***


「ち、ちくしょう。やられた」

 相手はアントニウスさんも含めて四人。対する俺は一人。状況は明らかに不利だ。それにしてもまさか奴が拳銃を所持しているとは――これは計算外だった。接近戦には自信はある。毎週一回ある剣の訓練もサボらないで受けてきた。しかし、飛び道具には勝てない。


「誰の指示で俺を調べてるんだ! 言え!」

 厳しい顔をしながら中尉は俺にそう言った。その威圧感に圧倒された俺は一歩また一歩と壁の方へ後ずさりする。ふと横を見ると大きな窓がある。ここからなら逃げることはできそうだ。しかし、俺は今、銃を向けられている。魔式拳銃の装弾数はたしか八発。初弾を運よくかわすことができたとしても次弾の餌食えじきになるだけだ。


 どうする!? 俺!?


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