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第118話 ボンズゴフ港

 エレニゾの車内から見える風景は少しずつ変わっていく。最初に見えてた草原地帯が終わったかと思うとすぐに荒涼とした大地が広がってきた。


「もうふぐボンズゴフ港だ。ここは小さいながらも天然の良港でもあり魔王軍独立海兵小隊の駐屯地でもある」


「もうふぐ――!?」


「ユキオス君そこは指摘しなくてもいい。ただ噛んだだけだから」


「理事官殿冗談ですよ。ところで船は何時頃出港するのですか?」


「午後二時だ。出港後は舵を北にとり明日の朝にはパルメクルの領海に入る」


「明日の朝にはパルメクル……。うぅ――。胸が高鳴りますね」


「我が使節団の報告を魔王府の高官達は心待ちにしている。おぉ、ボンズゴフ港が見えてきたぞ。港町で少し休憩しようではないか!」

 理事官が言うように賑やかそうな町が見えてきた。横でとても気分が悪そうなゴバルドーさんが少々気にはなるが俺達は先を急いだ。


 ***


 環状に伸びる道が行き着く先はボンズゴフ港。見たところ小さな港町なのだが、比較的道路などは整備されていて店屋もいろいろと揃っている。


「ナナセさん、ここはなかなか……。ステキな場所ですね!」


「ここは小さいながらも対パルメクルの重要な拠点でもあるから魔王府による整備も行き届いているのよ」

 眠りから覚めたナナセさんは大きく背伸びをしながらそう言った。道中、あの爆音にも関わらずぐっすりと眠ってた彼女はどこか元気一杯である。


「ここは今急ピッチで発展している港だからな。ほら、ユキオス君あれが見えるか?

 そう言いながら理事官は少し遠くの海側を指差す。その先には円形状の建物があった。


「あれはトト・ベベル海岸要塞。まだ七割しか完成してないがな。ここが完成すればとても重要な要塞として機能するだろう。キミが勤務する農場の重要さもこれでますます増すわけだ」


「そうですね。これは今まで以上に農産物生産に力をいれなければいけなませんね」


「食は全てのみなもとだ。君達のおかげで我々は今活動していると言っても決して過言ではない」

 目を閉じながら理事官はそう言った。そのしみじみとした口調が彼の言葉の重さを物語っていた。


「これより我々は貨物船フライゴールズに向かう。乗船手続き後、さっそくパルメクルに向かうぞ。ゼガニカ君、運転よろしく頼むぞ」

 理事官はメガネをハンカチで拭きながら一言そう言った。


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