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第116話 ベテランの余裕

 隊長執務室に入ってきたのは対照的な二人だった。一人は大柄な男性。その身長はゆうに二メートルを越えていそうだ。そしてもう一人は小柄で細身の女性。そのセミロングの黒髪はとても艶やかでその柔和な表情と相まって彼女の魅力を最大限にまで高めている。


「理事官、この二人は……?」


「紹介が遅くなったな。この大柄の男性はゴバルドー。物理学者だ。」


「よろしく……」

 ゴバルドーと紹介された大男はものすごい低音で一言そう言った。見るからに腕っぷしが強そうなのだが、意外にも物理学者なのか――。


「彼はベベルハウニスク宇宙航空技術設計局で特定鉱物を使った磁推浮力推進事象研究を行っている。今回は彼たっての希望で今回の使節団に参加することになった。そして、彼の隣にいるのは――」


「ナナセ・ブレムニンスクです。あなたがユキオスさん?」


「はい、そうですけど……」

 理事官の紹介を待たずに彼女は俺にそう話し掛けてきた。ブレムニンスク――。ということはこの女性が……。


「予想と違うみたいな顔をしてるわね」


「そうですね。てっきり男性かと思ってました」


「どうせ理事官から私のお堅い経歴を聞かされたんでしょう――。あなたのこと頼りにしてるわ」

 ナナセ・ブレムニンスクと名乗る女性は優しそうな微笑みを浮かべながら俺に対してそう言った。そんな彼女の言葉に対して俺はただ微笑みを返すしかできなかった。


「さぁ、これで全員揃ったな。ではこれより出発するとしよう。ゼガニカ君、説明を」


「はい――。ではまずはこの資料を御覧ください」

 そう言うなり彼はカバンからホッチキスでとめられた冊子を皆が座るテーブルの上に並べた。


「ここに書かれているようにまず我々はボンズゴフ港に向かいます。移動手段は機械化自動式四輪車エレニゾを使います」


「機械化自動式四輪車エレニゾ――。それってもしかして自動車のことですか?」


「そうとも言いますね。先日、魔王府工業技術集約発展試験研究所で作られたばかりのプロトタイプですが試用には十分耐えることができると思います。今回は理事官の権限発令によって使用が許可されました」


「そ、それはすごい――」

 まさかそんな最新の移動手段を使えるなんて……。もしかして馬車の時代は終わりをつげることになるのか。


「ボンズゴフ港到着後はエレニゾを貨物船フライゴールズに積載しパルメクルに向けて出発します。もちろん我々もフライゴールズに乗船します」


「ゼガニカ君説明ありがとう。では、諸君出発するとしよう」

 理事官はどこか嬉しそうな表情を浮かべながら俺達に向けてそう言った。


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