第106話 まさかのダークユキオス対ユキオス!
「オゴゴゴゴガゴ……!」
ダークユキオスの再突撃を咄嗟に懐中電灯で受け流す。比較的長いその大きさが幸いしてかバッチリダークユキオスの槍先を捉えることに成功した。
「ユキオス――。その懐中電灯はただの懐中電灯じゃないぞ。全体にコーティングされた特殊液状金属型塗料によって強度を増したそれは鈍器としても使えるんじゃ!」
「――!?」
町衣紋さんのアドバイスが俺の心に希望を与える。まさかこの懐中電灯にそんな使い方ができるなんて想像すらしてなかった。たしかになんだか長い懐中電灯だとは感じていたが……。
「町衣紋さん、俺やってみます!」
「よし、ファイト!」
ビックリ腰が再燃してとても腰が痛い町衣紋さんに励まされた俺は不意に攻撃をかわされてふらふらしているダークユキオスに果敢に攻撃を仕掛ける。
「オゴッッ……!」
攻撃が見事にクリーンヒットしたらしくダークユキオスは頭を抱えながらふらふらとしている。どうやら頭が奴の弱点らしい。ここで俺は畳み掛けるように攻撃を集中した。
「アガガガッ……」
痛手を負いながらもダークユキオスは手に持った槍を振り回してくる。どうやら意外にタフなようだ。
しかし、度重なる攻撃に消耗しているのもまた事実だった。
「チッ……。これでは埒があかない。なにか他に手は――」
あせる俺を尻目にダークユキオスは相変わらずメチャクチャな暴走攻撃を俺に向けて仕掛けてくる。
その時、俺はある事を思い付いた。
「学長、今空気アタックは使えますか!?」
「おぉ……。室内は空気濃度が薄いがある程度の空気アタックは可能じゃ!」
かなり後方で避難している学長は少々不安そうな表情を浮かべながらそう言った。
「わかりました。なら奴の攻撃でヒビが入ってる壁にアタックしてください!」
「わかった。しかし空気エネルギーを溜めねばならん。九分四十五秒待ってくれ!」
「――!?」
その時、俺は思った。空気濃度が薄いとそんなに時間がかかるの……。と。
「学長、もしもに備えて溜めてなかったんですか――?」
「すまん、別のことを考えていた!」
「――!?」
これは約十分間、時間を稼がないといけないようだ。