第101話 まさかの再会
「学長……。どうやらニコライズはあの建物に入っていくようです」
尾行を初めてから約四十分。ここに来てニコライズが乗った馬車は道路を右折し古ぼけた三階建ての建物に入っていった。
「見た感じは……。使われていないアパートメントっていったところか」
「そうですね。ここは突入して一気呵成に奴を拘束しますか?」
「いや、待て。もしかしたら奴は誰かと合流するのかもしれん。ここは暫し様子を伺おうぞ!」
「わかりました。学長の仰せのままに」
ここで俺達は待機することにした。
***
「町衣紋、あれを見ろ……!」
待機しはじめてから約一時間ほど。ここで状況に変化が生じた。一台の大型馬車がアパートメントに近付いてくる。
「ニコライズの仲間でしょうか?」
「恐らくな――。よし、機先を制すべくここは強襲攻撃を行い馬車を乗っ取るぞ。ついてこい!」
「はい、学長の仰せのままに!」
ここで俺達は強襲攻撃を開始した。
***
「ぐっ!」
学長の空気力学を積極的に極大応用した空気パンチが黒装束に身を包んだ男に炸裂する。さすが、学長。その年齢を感じさせない身のこなしは驚嘆に値する。恐らくこの近辺でここまで空気を操ることができるのは学長くらいであろう。
「町衣紋は後方から攻めろ。一人たりとも逃がすでないぞ!」
「はっ!」
学長の指示通りに俺は馬車の後ろに回り込む。その刹那、逃げようとした黒装束の男にそこら辺で落ちてた木の棒を撃ち込む。
「アガッッ――!」
よほど痛かったのだろう。その瞬間、男は気絶した。
「町衣紋今だ、馬車内に突入しろ――。これは輸送用の大型馬車だ。思わぬ収穫があるかもしれんぞ。残りの敵はワシが引き受けた!」
学長の声に促されながら俺は突入した。
内部は外以上に暗く状況を伺い知ることができない。
「ンンンッッ……」
誰かが捕まってるのかうめき声が聴こえる。
「おい、大丈夫か!」
俺は捕らわれ人の口や体を縛ってたヒモを解き彼を自由にさせる。
「ふぅ――。誰かは知らないがありがとう。ってあなたは町衣紋さんじゃないですか!」
「ん……。な、なに――。そういうお前はユキオスじゃないか!?」
農場にいるはずのユキオスがなぜニコライズの手下に捕まっているんだ……。これは何かあるぞ。