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第100話 農場外伝④~町衣紋さんの同窓会~

「学長……。貴方の力をお借りしたいのです。あなたほどの達人が兵を率いたら……」


「ニコライズよ。今のワシは武人でもなければ指揮官でもない。ただの――」


「あなたほどの空気力学の達人が何を言いますか……。昔の野心剥き出しの狼のような学長はどこにいってしまったので……。パルメクルは良いところですよ。ぜひ観光地を案内したい――」


「その手の誘いには――」


「失望しまし……。それなら――」


 二人のヒソヒソ話が聞こえる。一応、見つからないように角に隠れて二人の会話を聞いてはいるが、イマイチ重要な部分が聞き取れない。でも何となく険悪なムードになっていってることだけは理解できる。


「あっ……」

 その時、俺は声を出さずにはいられなかった。奴のポケットに入れた左手が一瞬光ったのだ。

 まさか――。ナイフか……!?

 ここで俺は身を潜めるのをやめた。


 ***


「ニコライズ、その左手を振りかざした瞬間、俺はお前を倒さなくてはいけなくなる」

 その瞬間、二人の視線が俺に釘付けになる。そしてニコライズはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。


「クックックッ――。誰かと思えば……。町衣紋じゃないか。俺と乾杯でもしたいのか?」


「誤魔化すな。お前の目的はなんだ。ただ同窓会に出席することだけじゃないだろう……!」


「これ以上の詮索は止めた方がいいぞ。お前だってこの華やかな場で一戦を交えたくはないだろう。まぁ、いい――。それでは学長、またお話しましょう……」

 そう言い残してニコライズは会場へと戻っていった。


「学長、大丈夫ですか?」


「心配無用じゃ。しかし許してくれ町衣紋。ワシは奴を正義の道へ導こうとした。でも無理じゃった」


「学長に罪はありません。彼の人生は彼のものです。しかし、こうして俺達がここに集ったのには何か意味があるはずです」


「意味か……。物事のことわりには必ず意味がある。今、ニコライズを止めることができれば――」


「それは俺も何度も思いました。しかし、今は同窓会の最中。その場で事を起こすことはできません」


「町衣紋よ。場所は変えれば良い。やるなら手を貸すぞ」

 その瞬間、学長の目に炎が宿った。


 ***


 同窓会の終わりをもって俺と学長は行動を開始した。学長曰くニコライズは『今、パルメクルにて傭兵部隊を錬成中なのだが、指揮官の数が不足している。ぜひ経験豊かなあなたを少将待遇で迎えたい』と言ってきたそうだ。老練な学長は危険を察してその申し出を断ったのだが、相手が相手だ。この事を知っている学長に対して何か危害を加えてくる可能性もある。そこで俺達はニコライズを捕まえて奴等がなぜ新たに傭兵部隊を編制しているのか、パルメクルで何を企んでるのかを聞き出すことにした。


「どうやら奴はホテルをチェックアウトした後、町を出るようです。あっ、今待たせていた馬車に乗りました……!」


「うむ、恐らく郊外に宿をとっているのだろう。町衣紋よ、早歩きの術を使うぞ!」


「先鋒は俺が、学長は後方をお願いします!」


「まだまだ若い者には負けんぞ!」

 ここで俺と学長はスピードを最大限上げた。


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