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第8話 農場にて①

「お~い!ユキオス。農場が見えてきたぜ」

 ロバートさんの声が辺りに響きわたる。ようやく帰ってきた。俺達の家に。なんだか長い旅をしていたような気がする。帰って風呂でも入ろう。そして、そのあと地獄大根が横流しされているのかどうかを調べよう。そうテキパキと頭の中で段取りをして農場のゲートをくぐった。


「おぅ! ユキオスそれにロバートお帰り!」

 宿舎のドアを開けた瞬間、優しいゴーレムさんの威勢の良い声が聞こえた。いや、声が大きくて内心ちょっと驚いたよ。おっかなびっくりだよ。でもこんなことで驚いてはダメだ。冷静に冷静に。俺はそう自分に言い聞かせた。


「優しいゴーレムさんただいま帰りました。反乱を起こしているデーモン軍との交渉は順調です! それと偶然だったのですが、ロバートさんも連れ帰ることができました」


「おぅ! そうかい。さぞ疲れたろう。じゃあさっそくご飯にするよ。今日はA定食とB定食どっちがいいのさ?」


「そうですね……。それじゃあ今日はB定食にします」


「あいわかったよ! B定食のメニューはご飯と炒飯チャーハンだよ!期待して食堂で待ってな」


「えっ!? ご飯と炒飯!? 炭水化物多くないですか?」

 俺はその時、心の中の叫びを全力で伝えた。いや、ご飯と炒飯っておかしいでしょう。おかずがないじゃん。


「あんたそんな些細な事を気にしてるのかい? それじゃあ暗黒騎士にはなれないよ。気合い入れな!」

 いや、暗黒騎士とご飯と炒飯は関係ないような……。まぁ、いいか。もうどうでもいいや。俺はそう無理矢理納得した。


 ***


 今日は疲れたからもう寝るよと言ったロバートさんとは別れ俺は食堂へと向かった。正直眠たい。でもそれ以上に今日はお腹が減った。まるでガソリンがない原付きのようだ。ご飯を食べて風呂に入ってから地獄大根横流し疑惑の件をどう調べるか考えよう。


 そして、俺は勢いよく食堂の扉を開けた。


「あれ……!?そこにいるのは?」

 誰もいないと思った食堂に誰かがいる。そしてゆっくりお茶を飲んでる。


「おぅ! ユキオスお帰り。交渉お疲れさまだったな」

 俺を待ってたかのようにそこにいたのはゴルヌス隊長であった。


「あれっ? ちなみに隊長は今日何定食を食べたんですか?」


「ん? 今日はA定食だが……」


「隊長それ正解ですよ」


「んっ!?ユキオス君それはどういう意味かね?」


 俺達の夜はそう簡単に終わりそうにない。


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