幻蝶蚊帳-小説執筆ブームにて何たら
今日も教室は活気に満ちている。
みんな冬だってのに元気だなぁ! 俺も負けてられないぜぇ!
とか気合を入れないが、周りの声に聞き耳を立ててみる。
「へえ、カリンちゃん、こんなの書いてたんだぁー」
「おお、是非とも見て感想聞かせてくれ、ルヘス!」
「やあやあ、なにかなぁ! おもしろそうな事してるねぇ!」
「やあやあ!イリス、これを君に進呈しよう!」
「何かのチラシ? ふむふむ、オーケー、明日までに原稿用紙一枚に感想をまとめるよ」
「話が早過ぎて超助かるぜぇ!」
「あんた何やってんのぉ?」
「やあリリ、ちょっと面白い物語を書いたんだよ、みてみてぇー」
「ふーん、暇があったら見てあげるわ」
最近、小説を書くことがブームだ、と豪語する奴が数名散見される。
あれだな、みんなで書いた小説を見せ合う、微笑ましい光景である。
「ふっはっは、シャルちゃんもコレ見ろや!」
「くそムカつく、ゴミみたいな奴らだわ」
そのなか、彼女はとりあえず、隣席の俺に視線を向ける。
その背後で少女がわーわー言っているが、まるで聞こえていないかのようだ。
「おいおい、他人を見下し過ぎだぜ、やめろやめろ」
「やめないぃ!
友達同士で物語を見せ合う時点でゴミゴミ、そんな非効率的な情報収集をしてる時点でねぇ!。
人肌恋しい時点でも、そういう奴らは人格、人間性とか未成熟な弱者、力の持たない取るに足らない奴らなんだからぁ」
「なんだよソレ、浅い感じだぜ。
直接コミュニケーションを深くとって、そんな奴が書いた小説だから補正がある、より楽しめるって話でオーケーじゃないのか?」
「補正? なにソレ食えんの?
商業作品の上位作品に勝てると思ってんの? 時間の無駄遣いして世界の富を食いつぶしてんじゃないわよ、こっちは死ぬ気なのよ!」
「知らんがな、なにと戦ってんだお前はぁ」
「世界と戦ってんのよぉ」
「なんかカッコいいな、同時にかっこ悪い気もするが」
「知らない、私は世界に反逆するために生まれたんだから」
周りの喧騒をシャットアウトするかのように突っ伏してしまった、一体なんだったんだろうかね、この展開と流れは。




