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ヴァンパイアブロードの世界で

 

 

「はぁ~高校時代を強烈に思い出す、この作品!

 偶に読み返すとヤバイなぁ、ヤバイよぉ」


 俺は今日、高校時代に激烈に嵌った作品『ヴァンパイアブロード』シリーズを復習していた。

 ノベルにアニメに漫画に、そしてアレ、、、PCゲームをやっていたのだ。


「はぁ~あ、そろそろ寝るかぁ~明日も早いしなぁ(↑)」


 俺は布団に入ると直ぐに寝に入った。



 それは、とても夕焼けに映える幻想的な黒髪だった。

 美しさの体現者とも言えるその存在は、俺の方に振り返り向いて、その瞳で魅了した。


「屋上、、か?」


 突然の出来事に混乱した、はあ? 明細夢って奴かぁ??


「貴方、、、運が悪いわねぇ」


 その少女がスタスタとこちらに近づいてくる、俺は一切動けない。

 そして顔を近づけてきて、俺は瞳を思わず瞑る、その隙に首筋を噛まれるのだろう。

 これは何度も、それこそ何十何百と擬似体験した事象だ、そうアレなのだ。


「ちゅぅぷぃっ、、さて、貴方は、もう私の虜、奴隷よ?」


「ああ、そうみたいだなぁ、、、」


「あら? あんまり混乱してない、冷静なのね」


「チヤ先輩、、来るぜ」


「はぁ、、わたし貴方に名乗ったかしらぁ?」


 後方の扉が開く気配。

 そして高速で接近してくる、紅の影、、振り向いたトキ、その紅の眼光が強烈に見えた。


「っつ!!!」


 胸ポケットに入っているナイフを、ほぼ自動的な反射、常人ならざる高速で取り出して迎撃していた。

 相手はこちらと比べて長柄の、つまるところ日本刀という凶器を振りかざしていた。


「そうだわ、貴方の最初の仕事は、その子をあしらう事にしましょう、頑張ってねぇ」


「くっ、好き勝手言いやがってぇ!」


 焦って手元が狂わないように注意する、この場合は手加減も考慮しないといけないだろ。

 相手は刀を正眼に構えて、クールで鋭利な表情でこちらをジッと窺っている。

 俺は身体がとんでもなく軽い事を自覚する、これはいわゆる吸血鬼の眷属になった効果って奴であろう。


「怪我しても責任とらねえぞぉ!」


 ただのナイフで突撃する。

 無駄にダイナミックな一足飛び、アクロバティックに跳躍して、相手から見て横手大上段から一気に飛び掛るように切りかかる。

 当然刀で受けられるのだが。

 しかし俺は連続攻撃で相手を追い詰めるようにする。

 大きく風車のように大回転しながら、二合三合四合五合、、延々と脈々と終わりが見えないほどの連続で切りかかり続ける。

 右から左から、下から上から、ありとあらゆるコースで、場合によっては緩急とフェイントを交えて熾烈なる攻撃を仕掛け続ける。

 たった一本のナイフで、日本刀の使い手を圧倒しているのは、客観的に見てけっこうシュールに見えるだろうと他人事に思った。


「そこだぁ!!」


 俺は、無限にすら変化するように見える刃のコース、それを変幻自在に、領域としては芸術的なまでの軌跡軌道を描き出す。

 そしてその間にも、そのコース上において緩急という要素を、ほぼ無限に変化変動させることで、交える剣戟事で独壇場に至った。


「ふっ、お前は、俺には勝てない、諦めろ」


 目の前の少女は悔しそうな表情で、身体からは鬼気のオーラすら垣間見えそうだ。

 いや実際に、彼女からは物理強化を施した肉体特有の、物騒で物々しい波動がガンガン放たれているのだが。


「くっ、、今日はこの辺にする、だからといって、私の実力をこの程度と思わないことだ」


 ひくと決めた途端、彼女は身を大きく翻して、屋上から立ち去った。

 その数秒後、後方からパチパチと軽い拍手の音がする。


「おどろいた、まさか本当に撃退してしまうとは、ね、正直思わなかったのだけれど」


 まあ、初見プレイなら絶対に撃退できない、ゲームではそうな感じの難易度だったなぁ。

 この後の展開的に、好感度をここで無理くり上げる必要はないのだけれど、高くて損はないだろ、それに負けるの癪だし。


「俺、こういうタイプの戦いには自信があるんだ」


「ふ、面白いわ貴方、なんだかお得なシモベを手に入れちゃったみたい」


 彼女は俺の真近まで近寄って、夕日を背景に、悠然と超然と優雅に優美に、ただ立っているだけなのに俺は威圧されずにはおれない。

 それで、こちらが吸い込まれそうな瞳を、直接俺の瞳を捕らえる捉えてくる。


「これから、末永くよろしくできると、いいわね?」


 ここまでの流れは、俺が夢に想像で見た、原風景そのものだった。

 しかし、これは余りにも圧倒的に、暴力的なまでに刺激的に、俺を魅了させた、させてくれた。

 それこそ、このトキ、俺は一生を決定付けられるほどに、絶対的に変えられた、と、そういう確信がある。

 それほどまでに、スケールが違った、世界も彼女という存在も、その他の何かもかも。

 まったく別に異世界に来たわけでもない、一見は現代なのに、俺は上位の世界に迷い込んでしまったような心地だった。

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