ゲンチョウカヤ+αナユタ&タクミ‐夏、海でいろいろ
「イツキよお」
「よおタクミ」
「んじゃ、行くかぁ!!」
「おお、行くかぁ!」
うおりゃぁ!っと俺達は飛んだ。
最近の暑さは最悪の一言に尽きる、温暖化で世紀末に至るかもしれんっと心配になるほどだ。
だから今年の夏は海まで、遂にやってきてしまった、俺は基本物臭なのだがねぇ。
「お兄ちゃん! 飛び込み危ないよぉ!」
「ほうって置きなさい、イツキは丈夫だから、でっぱった石に突き刺さっても、簡単には怪我しないだろうから」
上のほうから顔だけ覗かせて、我が妹&我が悪友的悪女が何か言っている、聞こえてんぞこのぉ!
「はっはぁ、おらおら!」
「うわぷぅあ! おいやめぇ! まじやめぇ!!」
一緒に飛び込んだ相方が、俺が上を向いてる間に攻撃をしかけてきたぁ、やる気かこのぉ、うぇ水飲んででしまった!
少し高い岩場の下で二人水を掛け合い、そのまま攻防を続けつつ、砂場の方に移動していったら。
「イツキ! うおりゃ!!! 往生せいやぁ!!!」
「ぐへぇえああ!」
夏に映える蒼、マリンブルー的な色合いの長髪。
プラス砂場でナイスバディを晒す、リリーが、俺に向ってバレーボールをスパイクした。
「うえぇっなんでぇ俺だけぇ!」
「あんたは丈夫だからよぉ!」
ブイサインすんなウゼェ。
その後方をちょいと見ると、レイアがパラソルの下でチェアに優雅に座りながら何か飲んでいた。
「レイア、お前はそういうのが超絶似合うな」
「あら、羨ましい? なら、この私の飲みかけジュースを飲ませてあげるぅ」
「おお、タクミがリリーに弄ばれてる、助けてやらないとなぁ!」
レイア流たわ言をスルー、それよりリリーがセクハラしていた。
「タクミ! あんたぁ! わたしのナイスバディで欲情してるでしょ!!?」
「しっしてないっつの!」
「してるしてる! 超してるぅ! 変態変態わっはっっは!!」
「おいやめてやれって」
「だってタクミ、股間をボールで隠してるのよぉ? これ確定!でしょでしょ??」
「、、うぅ」
「わっはっはむっつりむっつり、超スケベェ最低最低! 男のクズゥ!!」
「うわぁあああ、罵倒はご褒美なんだぁ!!」
ああ、錯乱が度を過ぎて向こうの方に駆けていってしまった可愛そうに。
「おいおい、リリー大概にしてやれよ」
「ええ、やだぁー、私ってタクミをからかうのが、生き甲斐って面があるしぃー」
まったく仕方がない奴だ、とか思ってたら、向こうの岩場方面から妹とシャルが来た。
「ああぁ! お兄ちゃん、こっちの方来てたんだ」
「逆の方探してたわ」
「おお! 悪かったなぁ!」
妹は跳ね返って少し遠くに行ったボール(タクミが飛ばした)を取ってきてニッコリ笑う。
「お兄ちゃん! あそぼぉ!!」
「おうよ!」
「それじゃ、リリーさんも混ぜて二対二、ですかねぇ?」
「いいわねぇ! それじゃ! いっせーのぉ!」
リリーは『最初はぐぅー』次にスローテンポで『またまたぐぅー』ここまでは皆合わせたのだが、、。
「いかりやチョーすけ、頭はパー、正義は勝つとは限らない、「「「じゃんけんぽん!」」」ああ!!!」
みんな介入した、名ストッパーだと思う。
「なっなんでぇ!」
「最後までやられると、マジ寒いからな」
「その寒さがいいんじゃない! だいたいいかりやさんに失礼だし!」
「ああはいはい、俺と佳代がチームで、お前とシャルだな、まあそれなりに良いペアなんじゃないかぁ(↑)」
チェアに腰掛けていたレイアが優雅に立ち上がり、私審判やるわっと言って、指で得点を示してくれるようだ。
昼になった、先ほどの勝負は白熱したな。
佳代とシャルは基本身体能力が高すぎるので加減し、最終的には俺とリリーの勝負になった。
リリーは蒼のポニーテール振り乱して奮戦したが、それでも僅差で俺がリリーに競り勝った、あと罰ゲームでリリーを埋めてやったぜぇ、がっはっはぁ。
「ふぁあ、やきそばがうめえなぁ!!」
「そういえばナユタ、お前何処行ってたんだぁ!??」
タクミが先ほどの事を力技で誤魔化すように、焼きそばを掻っ込んでる横で、俺はナユタに話しかける。
クールビューティーっぽい彼女は、つるつる冷やし中華を食べながら。
「秘密」
と言った、おいおい気になるじゃねえかぁ。
ふいに横をみると、タクミが焼きそばを口から溢れさせて咳き込んでいた。
「まさか、お前らぁ、、」
「ああぁ!!! 不純異性交遊! エッチなことしてたんだぁ!!」
こういう事にちょい煩いリリーが騒ぎ出した、彼女は学校でも風紀員なんて殊勝な事をやりだす少女だ。
まあその動機は、ネタバラシしてしまうと、自分は相手がいないからっていう嫉妬心から何だが。
「このぉ!! ちゃんとゴムはしたかぁ!! していたならば許す!」
「おいリリー食事ちゅ「だぁああやめろぉ!!! やってねぇええ!!ってえのぉおお!!」」
「ああ!その慌てよう! まさかあんたぁ、、ナマで!っああうぷう!!!」
俺は慌てて押さえ込んだ、ちょっと度を越し始めてきたからな。
「おいリリー」
「はい、、ナマはいけないとおもいますっうみゃぁ!!」
俺はふざけ続けるリリーに拳骨を落とした、まあ軽くだが。
「ありがとうなイツキ、お前は心の友だぜ」
「こいつはお前に対しては遠慮が無さ過ぎるからな、とっちめて欲しい時は何時でも言ってくれぇ」
タクミはなぜか「あにきぃいい!!!」とか喜んでるがよく分からないぜぇ、まあ頼りにしてくれなら悪くない。
「お兄ちゃん」
「どうした?」
「あーん、だよ!」
「はっは、またまた、お前は」
「あざとい」
兄妹の仲良し空間が完全に形成される、そのギリギリ瞬間を狙い澄ましたかのように介入されて、俺はビクリとした。
「おいおい、シャル」
「イツキ、あーん」
「お前もやるんかい、さっきのあざといって言葉は何だったんだ」
「うるさい、貴方は私の奴隷でしょ?」
「もう、しょうがない奴だ、甘えん坊め」
ニヤリと笑って煽ってやってみると、シャルはぷんと怒ったようだが、そのまま箸を近づけてくる。
「お兄ちゃん、、、」
パクつこうとした瞬間、横手から声、その声は余りにも暗かった。
「ど、どうした? 佳代?」
「私が、ぐぅす、、最初に、、うぅ、お兄ちゃんにあーんってしたのにぃ、、」
「いや、流石にお兄ちゃん、それが演技だってわかっちゃうぞ?」
「うん。
じゃあ、お兄ちゃん、私が最初にやったんだから、最初に食べるよね? それが道理だよね?」
「、、、シャル、すまんな「ダメ」どうしろと、、、」
ノータイムで否定されて、俺は途方に暮れてしまう。
「あっはは、見てみなよレイア、食事の度に修羅場るあの様をぉ!」
リリーがまんま見世物見るような瞳で、笑いながらこっちを指差す。
「羨ましいわ、わたしも、あれだけ素直にできれば楽なのに、、」
「あれ? 誰かにあーんとか、やりたいの? レイアっぽくはないけど」
「あら、私も、あれくらいの事をしたいって、乙女心持ってるわよ?」
「あはー、レイアなら、逆にギャップで映えるかも! 予行練習しよぉ!」
「いいわね、はいリリー、たこ焼きよ」
「はうむぅ! おいちぃいいい!!!」
百合か、と、美女同士だと絵になるから困るぜ。
「はい、タクミ、お弁当です」
「まじか、どんだけ出来たお嫁さんなんだ、ありがとう! 一生感謝するぅ!」
なん、、だとっ。
横手では、タクミが愛妻弁当みたいなのを頂いて涙を零していた。
「ああ、そうかぁー、私もおにいちゃんに、ああいうこと、しないとダメだったかな?」
「いや、大変だろうから、いいさ、しかしまさか、あれほど愛されてるとは驚きだぜ」
タクミは旨い旨いと涙をスパイスに食べ続けている、傍目から見て幸せの絶頂にいるかのようだ。
「旨いか? ちょっと俺にもおくれよ」
ひょいとウインナーを奪い取ってやる、幸せのお裾分けって奴だ、いや強奪か。
「あ、それじゃ私もおにいちゃんに続いて」
「それじゃ、ワタクシも便乗して」
「もちろんハンバーグはあたしの専売特許ぉ!」
「あら、これじゃあ私も奪わずにはおれないわねぇ」
四方から攻撃を受けて、タクミはオカズを奪われてしまう、今度は違う意味で涙している。
おっおもしれぇー、こりゃリリーが苛めるわけだわ。
あの中世的な可愛い顔が悔しがってると何とも、、って、やめようやめよう、俺は最後の一人になっても守るぞぉ!
「あれ? なんだ? あれ?」
俺は海辺を疾走する、アレを指さす。
アレってのは正式名称を知らないからだ。
「おいシャル、あれって何て言うんだ?」
こういう時は歩く人間辞典である、天才シャルに聞くに限る。
いや待てよっ、佳代もリリーもレイアもナユタも、キャラとして目立ってないだけで天才じゃないかぁ?
まあいいかっと。
「水上オートバイ。
メーカー別では、カワサキのジェットスキー、ヤマハのマリンジェット、ボンバルディアのシードゥーが登録商標となっている。
なお、シードゥーには、エンジンや推進システムに水上バイクと同様のものを用いられる、が。
乗員毎に独立したカッコ直列に跨るものでないカッコトジ、シートを備え、環状のステアリングにより操舵する、スポーツボート、4-10人乗り、と呼ぶものがある。
このようなタイプのボートは通常ジェットボートと呼ばれ、水上バイクと区別される。
アレは水上オートバイ、YAMAHA‐Waverunnerアメリカモデル、水上オートバイは、船舶の一種。
推進力としてウォータージェット推進システムを用い、ハンドルバーの操作と操縦者の身体バランスにより操縦するもの。
1人乗りカッコスタンドアップタイプカッコトジと、2人・3人・4人乗りカッコランナバウトタイプカッコトジの二種類に分類される。
日本では船舶職員及び小型船舶操縦者法における特殊小型船舶を指す。
別名水上バイクとも呼ばれる。
英語圏では一般的にパーソナルウォータークラフト、PWC、と呼ばれ、プレジャーボートに包括されている」
「すごいじゃないかぁ!! うん?」
シャルの目線が少し斜め下だったので、見てみると、テーブルの下で小型携帯PCを開いていた。
「、、、出典、フリー百科事典、ウィキペディア」
らしくなく頬を紅潮させて、シャルが言う。
「そ、そうか! わざわざ調べてくれてありがとよぉ! シャル!」
そんな風に取り付くっていると、今気づいたみたいに(百合っていた)リリーが、こちらを振り向いて言う。
「ああっあれ、そういえばイリスよ?」
「イリス来てたのか!」
イリスは天才少女だ。
あれ? さっきも天才キャラ出したな、、電波天才少女だぁ! これでよし。
てか俺とタクミ以外天才じゃん? いやタクミは秀才か? 俺は、、まあ努力家?
「ああこっち側に止めたみたいよ」
リリーが言ったとおり、ぴーぃよおぉんっ!ってな具合で、長い緑髪を翻らせて、ダイナミックに降りてくる姿があった、こちらに小走りで来る。
「やぁーやぁーやぁーやぁーやあぁやあぁやあぁやあぁ~♪」
アレの歌を歌いながら、ずんずん迫ってくる、凄く機嫌よさそう。
「みんなういぃーすぅ! 元気しってるぅ~♪
おおご飯かい! わたしも食べるぅ!」
なるほど、なぜ椅子が一つ余分に余ってるのかと思ったら、イリスのか、なんで言わなかったんだろうなぁ~。
「はむっ、はむはむはむはむはむぅ~!!!!」
「おい、おちつけ、もちつけイリス」
テーブル中央に置いてある、皆で食べる用だろう大皿、そのポテトを一口食べたかと思うと、それを中心に高速で食べまくるイリス。
「はっは、イリスは育ち盛りだ!食べさせてあげようではないかぁ!!うわっあっは!」
イリスの食いっぷりに触発されたか、一緒に食べ始めるリリー。
はあぁ、普段からだが、みんなが集まると輪をかけてやたらノリが良くなるやつらだぜぇホント。
「はは!はっはは! 確かに将来性は素晴らしいな! 俺も負けてられるかぁ! どらぁ!!!」
その後はなぜか皆で奪い合うように食べた。
まだ太陽が頂点を少し過ぎた頃、これからまだ一波乱くらいあるんじゃないかと、俺は期待と共に思わずにはいられなかった。