新世紀VRMMOオメガクラウン譚
「何時の間に、追い詰められたよ、くそが」
現実でPCゲーをやっている間に、”オメガクラウン”内の、俺の所属勢力”秩序”の、一大陸派遣部隊は詰められていた。
穴熊戦法でながら、永久持久できる、そんな究極要塞兼勢力支部内での話だ。
「他の奴ら、、、くそがくそが、つながらねぇ、どこいってやがんだぁ」
自分の事は棚に上げるのは当然だ。
で、俺は頼りに成らない無能者どもを罵りながら、今いる勢力内の部隊のシフト、ターンテーブルを最適に振り分けている。
これが又、苦行でしかない作業だ、詰まらない下らない、しょうもない。
「金も命も、両方掛かってんの、本当に分かってんのか、あいつらは、ゲーム感覚でやってんんじゃねーぞ」
確かに、”此処”以上の娯楽は溢れているが、俺たちが戦うべき現実は常に此処で在り続けるのを忘却してねーだろうな。
二十一半世紀になって、世界には前世紀・世代よりも、十倍から百倍以上の強度の娯楽で溢れている。
知的創造の力が、そのまま存在の価値に直結する。
そのような恵まれすぎて社会も人間も一線突き抜けてエクストラした、ある意味イカレタ時代。
情報付加価値創造至上主義の資本主義において、このゲームをする事は最善で最大効率的とは、必ずしも言えないのが現状だ。
「はいもしもし、リリー副将軍閣下、、、、、、、。
大丈夫大丈夫!いけるっしょ!おーけーおけー!あいよ!ひゃっはぁ!!!」
イカレ野郎を装って、超絶を通り越して、人格破壊能力者のような女上司の毒舌電波を強制遮断する。
「やべーぞ! やべーぞ! 状況を打破しなきゃ、どうなるか分からんぞ!」
俺の作業効率は一線を画し、ありとあらゆる情報を積算、高度な判断力と情報加工能力で素早く処理する。
人類を粗方超越した、俺という超天才の活躍によっても、事態は膠着以上にならない。
「くっそぉー! はやく戻ってきてくれぇ~~! 神よぉおおお!!!」
「あら、呼んだぁ? わたし、神的存在のつもりなんだけどぉ!」
「チェスとぉ!!!
よっしゃ!メイン盾キタぁ! これで勝つるぅ!」
「瞳孔開いて、目が血走ってる、軽いホラーね。
どうしたの? 恐いことがあったのね、お母さんが聞いてあげるわ?」
「よっしゃ!よっしゃ!どらっしゃぁ!!!
これで完全に帳尻はあうるぅ! 行くぜ! 俺とお前で前線を押し上げにいくぜぇ!」
「いまからぁ?」
「たりめぇーだろうがぁ!
この苦境による苦戦で、どれだけの金と命が無駄に莫大に浪費されたと思ってんだぁ!」
「しょうがないわねぇ~」
グダつく女を引っ張り引っ張り、俺は最速で戦域に駆け込んだ。
・・・・・・・・・・
「損害計算、ジョーカーの導き出した最終決算は、、、十億円。
戦死者および、重傷者に対する責任を負って、貴方は、私の、今日から部下ね」
「おい、どういうこった、最高責任者出てこい」
「現実へのログアウトも、制限されてるから、今日から二十四時間、貴方って私の奴隷?」
「しらんしらん、いち抜けたぁー!!」
「ちょ! ちっ、待ちなさいよぉ!!!」
昨日部下だった奴に、部下扱いされる、そんな下克上は当たり前の世界だが、俺が認めるかは別だ。
こんな人格破綻者に言いように扱われるのなんて、普通に御免だ。
俺は駆け出して、現実逃避に頭を冷やすくらいの間、独断での無断任務放棄を決意したのだった。




