夢魔法使い、とその使い魔
「ふぁ~あ、よく寝た」
「おはよう、イコ」
「ああ、おはようだよバグ」
目の前には微笑む少女がいた。
青っぽい水色に煌めく銀細工のような長髪、それが何時にも増して目に麗しいね。
僕は夢に目覚めた。
此処は僕の見ている夢である。
現実は先ほどまで起きていた場所である。
此処では僕は夢魔法の使い手だ、らしい。
らしいと言うのは、僕の使い魔だと自称する彼女の言だ、いつか前に教えてくれた。
ずばり夢想魔術という、この世界において格別なる能力者だと。
目の前の少女バグが言うに、それは大魔王やら上位特異点存在レベルの魔力量がないと、そも成れないと。
そして成っているらしい僕は、その夢想魔術で、仮想現実世界を創造してるみたい。
彼女が言うには、それが今、僕が現実と思ってる、思い込んでる場所なんだ、と。
夢を見てたら、夢が現実で、現実が夢って言われたわけだ。
なんというか、もうねぇぇ、うん夢って面白いね。
ちなみに、この世界で僕は普通の人間だ、なんか仮想現実世界創造に力を使ってるからみたい。
だから、彼女が手取り足取りなんでも、四六時中サポートしてくれているようだ。
見返りはいらない、ただ夢を一緒に見れれば、と。
「そういえば、夢占いの本買ったよ、向こうでね」
僕はこの世界を夢だと思っている。
だから夢占いなのだ、夢が現実に影響を与えるって奴ね。
「うふふ、そんなの必要ないない。
イコの夢、夢の世界にいるイコ、に対して、この世界の森羅万象が、どのような、に影響を与えるか、他ならない私が知ってますし」
言うとおりに、彼女ならばソレが完全に完璧に分かるのだろう。
僕がこの世界で体験した事が、夢占い的に、現実世界でどのような効果があるのか。
まるで、夢占い専門超速検索可能データベースみたいで、超重宝している。
「まあ、夢占いなんて、信じて無いんだけどね」
「嘘です、前の回では、夢占いプラスポイントが高かったおかげで、現実で良い事あったでしょ?」
「クロスした超レアな虹を見て、その後、その間を潜ってみたり、、、、、(省略)。
そんな苦労をいろいろした挙句の、見返りとしては、僕は見合ったとは思えなかったけど?」
「あれは、運が悪かっただけです。
運が良ければ、楽して良い思いが、甘い汁が吸えるんです、それが夢占いという魔法なのですから」
「よく分かんないなぁ~」
言いながら、頭が起きてきた。
「さて、今日はどこに行くの?」
「どこ行きたいですか?」
「候補地をよろしく」
「ノースラストで、世界の果て、と名ばかりの、魑魅魍魎跋扈する未開の地の入り口を見に行く。
これだと此処、シャルトラインから錬金列車で揺られながら、旅行感覚で行けますよ?」
「なんか面白そう、駅弁とかある?」
「ないです、そも、ワープ魔術、跳躍技術の発達した昨今、列車で移動する人は奇特なのです」
「それじゃあ、なんで列車なの? 夢占いマイナスポイント的に?」
「そうです、時間短縮のメリットよりも、ポイントのマイナスが痛いという話、だけではありません。
列車から見える景色、私とイコが二人で寄り添って同席、ロマンティックに良い雰囲気、それらを総合して考えましたよっと」
「他には何かある?」
「ああ、何時もどおり、ここから二駅のアトランティックシティーで、毎度お馴染みギャンブルでもしますか?」
「運が良くないと大勝は出来ないよね?」
「もちろんですよ、ほぼ絶対に負けないだけでも絶大なる幸運なのですから。
まあ、私の手腕の至らなさを威張るみたいなんで、アレですが、、」
「アトランティックといえば、少女曲芸隊の見世物や、歌劇隊とか、また見てみたくない?」
「あぁアレは、まだ前見たのとあんまり変わらないので、ポイントが低いので暫く間隔を置いてから行きましょうね」
「そうかぁー、それじゃノースラストかな?」
「他にも一つ、賭けの要素が大きいのですが、アリスワールドという場所があります」
「何処だっけ? というよりどれ位掛かる?」
「此処から遥かなる遠き場所、だから跳躍で行くことになりますよね」
「そう、つまり、初めからマイナスポイントを背負ってでも、見返りがあるって?」
「はい、情報収集で分かったのですが「ストップ」なに?」
「なんでさっきから、秘書みたいな話し方なの?」
「いいじゃない偶には、ね。
続けます、現在アリスワールドでは、女王が国花を制定しようとしていて、それに伴う争いが勃発。
そして今日、紅薔薇派と白百合派とアリス派が決選投票をしているのよっと」
「面白そうな事になっているんだね。
それと、気になったんだけどアリス派って?」
「さあ、アリスって花を持って挑んでいるんじゃない? よく分からないけど」
「他には、もう無い感じ?」
「幻想領域、その勢力圏内なら、もう特には、今日は面白いところはそこら辺かしら、、」
「ルナルティアの猫神聖誕祭って何時頃だっけ?」
「バーストの気が向いた時だから、半ゲリラ的だと」
「矛盾の勢力圏だけど、大図書館の新刊召喚っていつ頃だと思う?」
「私が知るわけ無いけど、今までの間隔からして数ヶ月後レベル」
「うん、じゃあノースラストに決定ということで」
「了解、行きましょう」
列車かぁ、、。
「ですが、、限界? 言ったはずですよね、、、」
駅舎にて、右に広大な更地、左に海やら林やらの自然風景。
右がこんな空けた感じなのは、昔は沢山の、それはもう千くらいのレベルで路線が引かれていたからだという、すげえなぁ。
「無いとは?、、、使えない、もういいです、はいはいさよなら、死ねばいい」
「どうしたの?」
先ほどから、無線機のようなモノで会話していたバグに問う。
「さて、今日は、そうですね」
彼女は左手の海を眇めて眺めて。
「海水浴に、森林浴ですね」
「水着とか、服装も、何も整って無いよ?」
「洞窟に財宝とか、森でヒグマにあって倒したりとか、夢が広がりますよねぇ~」
「そうだね、君となら、何しても楽しいと思うよ」
「あら、嬉しい、ですね、今日は夢占いポイントを捨てて、楽しむのも有りですか?」
「夢占いポイント至上主義の、バグの発言とは思えない」
「もちろん、是が非でもポイントを稼ぎに行きますよっと」
「夢の為?」
「そうです、出来る限り最大限、良い夢を見るためですよ」
ニッコリ微笑まれる。
そして、手を引っ張られる形で駅舎から飛び出る。
太陽は真上、燦燦程度に輝いている、絶好のアウトドア日和だ。
今更だけど、なんか夢っぽくなくない? って思った。




