ドラゴニアの少女達‐矛盾都市とその保護者?
「うわぁーすごぉーいぃ! わたし! 心がぴょんぴょんしちゃいますぅ!」
うるせえ、と、ちょっと思えてしまうくらい、盛大なボリューム。
隣でジャンピングしながら吐かれたその台詞に、俺は苦笑を隠すことができなかった。
図書館都市、あるいは、魔術都市とか、人によって呼び名は多少異なるが、一番メジャーなのが、矛盾都市、そこにて。
憧れの場所への留学が決まり、みんな一様に嬉しそうだった。
そして、実際にその場所に着くと、みんなが爆発していた。
もうココで描写できないくらいに、超新星爆発もかくやというほど、はっちゃけて嬉し喜んでいた。
今は、都市で一番大きな飲食店”ブレッドワールド”とか言う場所に居る。
「おい、ロティ、そんなにトレーに載せて、お前は一体全体、どうするつもりなんだ?」
「え? 駄目だった? 全部、ちゃんと残さず食べれるよ?」
「あ、ああ、だったら、良い」
ドラゴンの少女だという、だからか?
それでもと思う。
幾らなんでも、自己の体積よりも、一杯のパンを食べるのは、果たして自然現象の枠に収まりえるのか。
五人、そう、五人だ。
今俺が管轄する少女達が、五名なのだ。
だからか、金なんて簡単に無くなりそうだと思った。
だが、振り込まれている金が、中途半端国家予算よりも多くて、そんな心配は杞憂だと、直ぐに悟れてよかった。
てか、と思う。
俺が保護者として、一応はこいつらに付いてるが、果たして必要必須だったのか、日々そういう疑念が増す今日この頃。
こいつらは、見た目は子供子供しい(例外一人)、年齢的にも立派な子供の範疇だ。
だが、中身は違う、そこらの大人よりも、よっぽどしっかりしているし、精神的にも人格的にも、成熟してるんじゃないかと俺は疑っている。
過保護な保護者の、一応の保険なのかと思う、俺の存在がだ。
「どうしたんですか? ミヤトさん?」
「別に、お前こそ、アデルこそ、、、どうだ? 調子は?」
「悪くないです、むしろ、わたしは、、、今までに無いくらい、好調子ですよ」
長い赤髪が、綺麗だと思った。
ちょっと触ってやろうと思ったが、なんかやめておいた、嫌われたくないからな、ホント一応はな。
「ねーねー! ミヤトー! 好きな本ある?!」
「ドロシーは、、、メッチャ馴れ馴れしい上に、俺を呼び捨てかよ」
「今更ですね、てかその、人生に迷った青少年のような風情は、いったいどうしたんですか?」
「俺はもう30だ」
「はへぇ?」
「もう青少年って歳じゃない」
「そんなに可愛い童顔なのに?」
「お前なんて、、、小学生みたいな見た目の癖して」
「はい! まだまだピッチピチの、小学校六年生ですから、年齢的には!」
「はーぁ」
「それで、ミヤトの好きな本、教えてくださいよ」
身体を変に密着させて上目遣い、果てさて、コイツは俺の事が好ましくでも思っているのだろうか、錯覚してしまいそうだぜ。
図書館をそんな風に、あーだこーだドロシーと言い合いながら歩いていると。
一緒にココに赴いていた、五人の内の一人、長い金髪を靡かせて、大人顔負けのスタイル、プロポーションでしゅたしゅた歩いてくる奴がいた。
ちなみに、こいつはドロシーと同年齢だ、さっぱりハッキリ、そうは見えないが。
「あら、ミヤトとドロシー」
「ローゼ、何か面白い本でも、見つかったか?」
「ごめんなさい、わたし、ドロシーと話したいの。
貴方は、申し訳ないのだけれど、席を外してもらえないでしょうか? 本当に不躾で、大変に申し訳ないのですが、、、ごめんなさい」
なんか、不自然に圧倒されて、居た堪れなくなったぞオイ。
「どうしたのかな? ローゼ? ミヤトが居ると、話せないこと?」
「いえ、あっちの方で、ウェルが居たから、ミヤトは彼女にちょっかい掛ければいいんじゃない?」
「どういう了見だ? 事だ? まあいい、なら、ちょっと様子見にいくかね」
後ろで直ぐさま談笑モードに突入した二人を気にしつつ、指差された方角に歩く。
すると、図書館のテラス、庭園みたいな所に、ウェルが居た。
ローゼと似たような、長く美しい、今は陽光に照り返って、さらに光っている黄金のような髪の毛。
清涼で静謐、小奇麗な幻想的な庭園の風景と相俟って、まるで妖精のようだと思った。
「おいウェル、何してる?」
庭園を歩きながら、キョロキョロしてたので問う。
振り向き、俺を確認すると、伸び上がるようにスッスと、ステップを刻むように、変にリズミカルな歩調と動作で近づき言う。
「特には、何も、ウェルさんこそ、なにかしてました?」
「何か、面白い本でもないかと、探してたぞ」
「そうですか、わたしは、探検ですかね、ココは綺麗で、見たことも無い植物に溢れています」
そして、くるっと一回転、360度を一瞬で見回すように、金の髪の毛をフワくるっとさせた。
こんな感じの五人が、俺の傍に居る。
意外と大人しい感じだったぞ、だって?
ああ確かにな、俺と話すときは、奴らは俺に合わせて、ちょっとレベルを抑えてるのかもしれん、だいたいそういう描写を選んでみた。
でも、五人集まったりすると、歪に過ぎる化学反応が起きて、大変な騒ぎになる。
女幾人か集まればなんたらの、超ハイパー進化ヴァージョンって感じだ。
まあ、暇があれば、そういう形式の寄り合い、パーティー染みた集いの話も、何時かしようか。
そう何時かだ、少なくても、今日じゃない何時か。
それは、割と傍で見てる分には疲れないし、純粋に微笑ましくて、楽しいし面白い、ウィットなジョークにも溢れてて、凄く可笑しいモノだしな。
というより、世界を広く見て、いろいろ学ぶのが、一応の目的なんだが、上手い事行ってるのだろうか? 現状の話だ。
大なり小なり、誘導的に、彼女達に働きかけた方が良いか?
だが、別に彼女達は馬鹿じゃないので、余計なお世話になりかねん、様子見でいいだろうよ。
ホント、世話の掛からない子供達でよろしいって感じだぜ。




