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混沌的な存在と化け物‐矛盾都市と其処にいる糞翁

 

 

 着いた、浮遊感、ビックリした振りをした所為で、空中落下後の受身に失敗、尻餅をついた。


「いたたぁー、馬鹿したなぁー」


 とかぼやいてる間に、もっと馬鹿をした。

 上から当然降ってくる影。


「うぎゃみゃぁ!」


 私をしゃいでくれる、私よりも質量過多な存在、別に太ってるわけじゃないのに、やっぱり男だからか凄く重たく感じた。


「どいて、どいて」


「ああ、すまない」


 私の上からどいてくれて、地面に接触したコートの端をパタパタやっている。

 私は立たず尻餅ついたまま、それを見て取って、手を差し出してくれた、握って立ち上がる。


「それだけ?」


「はぁ、なにかあるのか?」


「慰謝料百万」


 きっぱりと断定調で言う。


「面白い冗談だな」


「冗談じゃない、真剣」


 ノリで発言し、勢いで迫るように一歩踏み出し至近で睨み上げる。


「はいはい」


 そう言いつつ、内ポケットから分厚い財布を取り出し札束を出す。


「ちょうだい」


「はいはい」


 うんざりした態度で物を差し出し、当たり前のように私はそれを受け取る。


「わっはっは、それじゃーねぇー、ハートの女王の確認よろしくー!」


 走りながら言って、呆れ返ったような表情が返ってきた。



「さて、久々のエクスラシャペル、マジ壮観だな、どこ行こうかなぁー♪」


 外周から海沿いを、かなりのスピードでランニングしながら考える。

 島中央の青々しい尖塔がまず目に入り、次にその周りの重厚な建築群、更に外周の城下町のような高層低層建築が見える。

 ここでの一時の生活が走馬灯のように流れては消える、走りながら浸ってひたって、何か閃くような心地に至ったとき、一軒の建物に辿り着いた。


「やっぱり、ここだよね」


 海沿いの近く、へんてこりんな風袋のソレに入る。

 昔と同じで、やっぱり彼女は居て、その周りに二人、見知らない人が居た。


「ちょっと、誰? その人たちは?」


 いきなりの来訪に、彼女以外の、見知らぬ男二人は困惑、、、していない。

 一人は爺、くそじじいタイプ、私のあまり好かないタイプ。

 もう一人は、ちょっといい感じの、良い匂いのするタイプの青年、うわぁ! テンション上がっちゃうよぉ!


「フェア、久しぶり」


 昔と寸分たがわぬ声色、なんか安心した。


「うん久しぶり、で、そっちの二人はどうしたの?」


 どかどか近づき、メルスの長い白っぽい銀髪を撫でる、昔と同じ良い手触り。

 座っている彼女は、立っている私を上目遣いで見上げながら言う。


「彼は召喚した、もう一人は生き返らせた」


「へえ、貴方って異世界から?」


 なんでもない感じで青年に問う、メルスと同じような髪色、理知的な瞳、なんか見てるだけでソソル。


「ああ、そうだが」


「ちょっとまったぁ!!!」


 うっさ、殺そうかしら、こっちの暑苦しいタイプのオキナ

 私はうらんげな瞳を向ける。


「なぜ俺がぁ! 召喚された方ではないと決め付けているのだぁ!」


「はぁ、誰もあんたみたいなゴミ死に損ない糞ジジイを、わざわざ召喚するわけないでしょう、常識的に考えて比較して考えれば明瞭な答えよ」


 そう言うと、青年はスタスタこちらに歩み寄ってきて、掌を差し出してきた、私は意味わからないが手を差し出し握り合う。


「うふ、貴方とは、それなりに仲良くしたいと思ってるの」


「ああ、俺もお前とは、ちょっと仲良くしていいと思った」


 お互い何か共感する感性でも持っているのか、私は相手も何か感じ取ってくれた確信があった。


「おぉい! おぉい!」


「さて? ヤル」


「今ここで?」


「ああ、メルスに迷惑かかる、外でやりましょう」


「それがいい」


 二人で外に出ると「ちょっと待てよぉ!!!!」と図太い声が追随する、あと少しの辛抱だ。



 家の庭先、ジジイを対面に、一定の距離を取って立つ。


「彼、強いの?」


「お前の力量がどれほどか知らないが、少なくともこの町、都市の中では強いほうだ」


「へえ、なら手心加えられないわね」


 私達の殺伐とした感じを察したか、爺は臨戦態勢の気配を放ってきた。


「ぐっはっはぁ!!!何かしらないがぁ! なんだが面白くなってきたなぁ!!!!」


 獣のように叫び声をあげて、その場で思いっきり地団駄踏むみたいにすると、地面が割れた。

 クレーターができるような感じではない、だがそれ以上に莫大な力量が一点に働き、遥か下方の岩盤に皹が入ったのが分かる。

 はぁ、このジジイは災厄系か、と思った、恐らく近いうちに、あの皹は地震の原因にでもなるんじゃないだろうか。


「やっぱり気に食わない、彼は殺さずには、いられないほどに虫唾が走る」


「気が合うな、俺は生まれたときから、そうだった」


「そうなの、生まれたときからって、もしかして彼は」


「ああ、俺の親父だ」


 目を見張る、ちょっとショックだった。


「災難ね」


「ああ」


 その一言と同時に、刀を抜き放った。

 ”混沌”発動。

 闇色の気配が辺りに漂い、世界に歪みを与え、それとプラスして、何よりも私の歪みが、黒の奇跡として刀に集結、収束して完全に完成した、これで行ける、準備完了。


 二人は未知なる武装、神の器すら凌駕する絶対のコレに、不信感でも持ったか、警戒するような振りをする。

 私はそれすら認識しないように、ただ駆けた、軽快に命を刈る為だけに。


「っっっ!!!!」


 勝負は一瞬。

 オキナの脳髄を横に、すれ違い様に両断。

 確かな生命の感触、手応えが刃越しに伝わり、何にも変えられない快感が生み出された、ただそれだけだった。


 だが、終わるはずが無いだろう?

 だって、この爺が、仮初にも纏っていたオーラは、このような小物の気配ではなかったのだから。


「俺もちょっと本気を出す」


「なにをするの?」


 私の問いに、青年は片手を銃の形にして、脳天に向けてバンとする。

 その動作後、腰のホルスターから実際に拳銃を抜き放って、何のまいぶれもなく引き金を引いた。


 当然の帰結、因果の流れだが、地面に脳漿と血液が飛び散った、ああ、これは一体、どういうことだろうか?


 私は二つの遺体を観察し、何事か推理する。

 思い当たる節があった、何かの、呪術的異能力? ではないかと。

 観測者特権のような、この世の理を弄び超越し、超常し続ける、意味不明に類する力の断片の気配を感じる。


 混沌で強化した感覚が、異相物理学的な世界の反応を知覚した。


 私は消滅した。

 という、結果だけを頼りに、私は自我を生還させた。


「はぁー、そうでしたか」


 攻撃方法からなっとく、外側から攻撃してくるのか、だったらもう、あの生命体でしかありえない。


「究極的な情報生命体、その幹部クラスなんですね?」


 この世界のどこかに向けて言葉を吐く。

 どこからともなく音とも言えない音がする。


「はっはぁ!! まあな! 

 俺もこういう戦い方は好みじゃないが、お前レベルの相手にゃ、この姿、やり口じゃないと、どうしようもないだろう? なあ!」


 またも世界が、私個人に向けて牙を剥く。

 刀に秘められし究極の歪みで、その牙を交わす。


「ほお、ただの存在が、たとえ混沌の加護を受けようと、やり過ごせるとは、しんじらんねぇなぁ、、、」


 感心したような意図。


「さて、そろそろでしょうか」


 頭の中に、所在不明の座標が送られてきた。

 とにかく、その場所に究極の攻撃を放て、そういう意図と解釈、実行。


 刀を実際に抜き放ち、物理則、その認識できる最上位の概念を行使。

 今現在私の居る時空から、所定の所にまで、一瞬で届くはずの攻撃を放つ。


「・・・・・・・」


 、、、届いていない、分かるのは無論、手応えが無いからだ。  


「面白い、ホント面白い」


 ぶつぶつ繰言を零す。

 私は、既に至高の存在である自覚がある。

 掛け値なしに、誰にも私を仕留めることができないと、そう、確信できるくらいには、この全世界で強き存在だ。

 でも、まだまだ未知なる強さは存在した、あのハートの女王ですら、今なら倒せる自信があったのに、、、なんだか熱い気持ちが身体を精神を駆け巡った。


「質問します、貴方は、一体何なんですか? 秩序では、、、恐らくないんでしょう?」


 爺から返答は無く、実体を取り戻した、いつの間にか隣に居た青年が言った。


「奴は、、、俺でもわからねぇー、とにかく意味不明で、どこまでも強くてムカつくやろうだ」


 瞳には虚無と、滾る憎悪と狂気が同居していた。

 綺麗だと思った、美しいと、果てなく感じた。


「興味深いね、私の殺すリストベスト30に、あの糞ジジイは加えてあげよう」


「ぐわっはっはぁ!!! それは光栄だなぁ!!」


 突然に肩に荷重、身体を翻して刀を振るう、が、またも手ごたえなし。


「おっとっとぉ! おっかない少女だなぁ!」


「うっふっふ、面白い人です、気紛れに、名でも聞いときましょうか?」


「ノイスだ、おまえさんは?」


「ノイスですか、覚えました、私ですか? 当然、貴方に教える名前なんて、ありえませんよ」


 ぷいっとそっぽ向いて、清清しい青年に向き合う。


「ちょっと、お茶でもしませんか? ノイスの悪口でもご一緒に」


「いいね」


 そう言いスラスラその場を去る私達に、後方から大きな声がしたが、気にしない事にした。


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