表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/53

他人の噂も

 



 目の前に。

「何やねん、自分っ。ちょお、しつこいで!?」

「うるさい! 颯稀に寄るな触るな近付くな」

「最初と最後は同じ意味じゃボケェ」

「だっれがボケだ!!」




 変人が二人。いただけない。実にいただけない。

 そもそも、俺が損するように出来ているらしい。いい加減にしやがれ、と、どこにいるかもわからない、実際存在するかも疑わしい神様に、宗教信者に謝りながら吐き捨てつつ。


「───颯稀、あんなのに近寄っちゃ駄目だからな!」

「いや、別に用は無いし、アレに」

『問屋』こと仄束八好が去った後、遠矢はまるで我が子に“変質者からは離れないといけません”などと言い含める親に似た感じで、俺に訴える。俺はと言えば、完全にどうでも良かった。さよなら、遠矢。

「消えてませんから」

「……あれ? 聞こえてた?」


 呟きとして、かなり役不足な部類の、ぶっちゃけ溜め息のほうがしっくり来るそれを、遠矢は聞き取っていた。

「ふっふっふ。颯稀ちゃん、甘いよきみ。僕ぁとぅっても耳が良いんだよ? それはそれはね。たとえばだね、颯稀くん。教授のあの講堂からこの校舎まで入ってくる時の足音とか────」

「敬称は統一しろな」

 よくわからない“呪文”を垂れ流す遠矢を遮ったのは澱みを知らないような一言。遠矢はのた打ち回る。


「……颯稀はぁー、愛情がぁー、足らんのです」

「無いモノを“足らない”と訴えられても」


 再度、のた回る遠矢。うるさいかも。


「俺帰るわ」

「帰るな!」

 がしっと掴まれ裾が伸びるのを考え止まる。

「あのなぁ、」







「────あの“二人”って変だよね」







 耳に入ってきた、女子の声。“二人”……?




「遠矢くんは元からだけどぉ」

「良いじゃん、格好良いもん」

「だけど颯稀くんもだよぉ」

「美形だから」

「ええーっ。でも絶対……だって! だって、


 学校内であんな派手にイチャついてるんだよぉ」




 女子が悪いんじゃない。ああ、そうだ。彼女は正しい。


 俺はくつくつ喉を鳴らし笑う遠矢の、脇腹を蹴った。







   【Fin.】



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ