無から有は生まれずに、形在るモノ は 土に消えゆ。
目は、口程に語るらしいが。
それは[嘘]。
目は、口と同じくらいには喋ったりしない。
口以上にお喋りじゃん。
「あー、『学年首位』だ」
「え、坂崎?」
「あいつ変わってるよな」
「確かに。毎回満点だろ?」
「そうそう」
「ホント、よくやるよ
─────追試で満点なんて」
ザワ付くノイズに興味は無い。
私は“変わり者”。まぁね。
人が死ぬところを見るのに興味が在るの。だぁれも知らないけどね、これが私の一番変わってる部分。
ふふ、笑える。
「あ、坂崎が笑った」
黙れ外野。
でも私は睨まない。逆に。
「……ぁ……」
顔を赤らめる、先まで私を気味悪がってた男子。
そう、笑ってやるの。特上の笑顔でね。
私は笑って、鞄を片手に授業の残る学校を後にした。
あー、誰か死なないかなぁ。
先月は、サラリーマンのおじさんがホームに飛び込むのを見た。
何で死んだか別に気にならないけど。あれから見てないかと思うと寂しいわぁ。
足下の小石を蹴る。退屈な今を、ただどうにもせず持て余す。────なんて、言い草がどうも青春映画みたいね。
目は、口程、って言うけど。
口よりうるさい。
だって見てよ、この群衆。
学校のが、まだ、マシ。
その閉じた口を凌ぐ、無言のうるさい目、眼、瞳……。
ウザイ。
あーあ、誰か死なないかな?
こんなに淀んだ目で溢れてるのに。
でもわかる。きっと思い切れないんだ。
どんなに重たい感情が、“祈り”と呼ぶには濁った想いが、沈澱して行っても。
簡単な溝みたいに口開く、死の境には足を突っ込めない。
目で叫んでいるのに。垂れ流しているのに。
「おじょーうさんっ。俺たちと遊ばない?」
「……」
脳みそが悪いのか、目がヤバいのか。
どちらにせよ身なりを崩した男たち───三人くらい? が、声を掛けてきた。あーあ。
にっこり。
笑って、答えようとする私に何を期待してるのか、男たちも笑ってくる。
────次の瞬間固まるんだけど。
「うるさいよ。死んじまいな、カス」
凍り付いた男共を背に私は歩き出す。
まったく。私に声を掛けるなんて身の程知らず。
「あーあ、つまんない」
誰か死なないかな? あとで検索してみるか。
『Paroady DRUGs』? ううん。
[死]を、望むなら─────。
「やっぱ、『ワンダーランド』かな?」
さぁて。
あの『Alice』は今も他人を死に誘ってるだろうか?
口の端が上がる。言葉を発さない私も、きっと饒舌に語ってるだろう。
目が。
【Fin.】




