表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/53

空虚たる空虚ゆえの失明。

 






 僕は事故に遭い目が見えなかった。僕が望むのは『光』だったけれど、それが僕に視覚を与えてくれることなどなかった。




 理亜(リア)。きみは『光』ではなく『闇』の名を持つ人だった。




観名(かんな)。今日は何て書き込む?」

 理亜が伺うのは、サイトへの書き込みだった。よくは知らないけれど、パロディー何とかってサイトだ。僕に代わって理亜が書き込む。僕が口にしたまま、理亜が。

「可愛いよねぇ、『Yukari』。書くことが“世間知らず”って感じ」

 理亜が、笑いながら言う。


 理亜の説明によると、『Yukari』は“綺麗事ばかりのお嬢様”なイメージらしい。


「『Sayu』だ。ああ、また『Yukari』の援護ぉ。つまんないなぁ。友情ごっこは外でやれっての」

 頬を膨らます理亜が、見たこと無いのに浮かぶ。おかしくて、僕は笑った。


「……あ。何? 何かおかしな文章(モノ)でも浮かんだぁ?」

 おかしいのは理亜だよ。

 そう口に出来ないのは、理亜がいなくなってしまったら僕はヒトリになるからだろうか。理亜の機嫌を損ねるのが怖い。

 僕は怖い。


 理亜がたとえ『闇』でも、いなくなるよりマシなんだ。




「───“世間知らず”だから、“ここに来る”のかなぁって」

「へ?」

「『Yukari』」


 だから僕は別のことを言った。


「“世間知らず”だから、“《世界》を知ろうと必死”なのかなって」


 僕の思い付くままの言葉に、みるみる理亜の目が輝くばかりになるのが気配で伝わってくる。僕は理亜の趣味で目隠しのように巻かれた包帯の下、目は元から閉じていたので首だけを俯かせた。


「よし! そのまま書ーこうっ」


理亜が机に向き直りパソコンを打っているのが音でわかった。


 僕の言ったままが今文字の羅列として形を成しているんだろう。ハンドルネーム、『mm(ミリ)』として。




 僕は理亜がいなくては籠の鳥なんだ。網の中を無様に藻掻く魚とも言える。


 理亜が死んだら僕はどうしよう。




 理亜が死んだら、僕は。







『闇』と共存してでも、ヒトリは嫌だった。







   【Fin.】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ