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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第8話 最終目標。

この10年で開発した物は”扉渡り”だけじゃない。ただ、一番の目玉は扉渡りではあるけどね。


俺が開発したのは、かつて王様に作ると言った”日本の家電”をモチーフにした物で、それらを俺は総評して”魔道家電”と名付けることにした。


そんな魔道家電は、この実験室にもたくさん設置されており、まずスマホと繋がっている、この小さな丸い機械の名前は「まるまるくん」といって、スピーカーやプロジェクターの役割をしている。


この世界にはインターネットがない。これは大ネット世界で生きてきた俺からすれば地獄みたいなもので、スマホの電波をどうにかしようと100回は考えたが、どうすることも出来なかったので、せめてスマホにダウンロードしていた音楽や動画や漫画をより楽しむために開発した。


この「まるまるくん」のお陰で、アッチの処理もより捗った。


あとは特に紹介することもないが、物を冷やすための冷蔵庫‥‥改め「冷や冷やさせるくん」、部屋の温度を一定にするためのエアコン‥‥改め「たもつくん」などと、多分だが、みんなが知っている家電は大体は作ることが出来た。


もちろん、この開発した数々は誰にも売るつもりも、教えるつもりもない。このまま、俺だけの中で納めると決めている。


そしてなぜ、俺がこんな開発を10年もしたのか?それが扉渡りの黒色にも大きく関わっている。


俺は、この世界に来て数年は勇者の一人として城で過ごした。その日々は決して悪い物ではなかったと言えるだろう。だって、そうだろ?俺なんてこの世界に召喚される前は「ただの普通の学生」だったのに、それが急に世界を救う勇者として日々、特別扱いされるわけだから、悪くなるわけがない。


でも、その分‥‥嫌なことも当然あった。


期待されて、成功を望まれて、「私達を救ってください」などと言われる。その言葉の数々は、人から期待されることがなかった俺には重すぎた。俺は初めに逃げたから、まだマシだったと思うけど、最初から勇者をやっていた勇者は、とてつもないプレッシャーだったと思う。


そして魔王を倒しても‥‥結局、戦争は‥‥争いは無くならないことを知ってしまった。


そうして全てから逃げて、何のしがらみも無くなって自由になって、この街の人達と言葉を交わして、俺は家族が恋しくなった。


日本の俺は勇者でもないし、特別な人間でもない。錬金術のような奇跡の力もない‥‥ただの人。だけど、それが一番の幸せだった。父さん、母さん、妹と過ごす普通の日々を、俺は求めていた。


だから、俺は――地球に帰還することを目標にした。


そこからは速かった。表ではポーション屋として働きながら、裏では錬金術だけじゃなく、魔法、魔術、魔工学と、魔に関する知識を詰め込めるだけ詰め込んだ。


そして地球に帰還する方法を見つけた。


それは古い文献に記されていた。内容は――


『召喚された勇者を元の世界へと帰す方法をここに書き残す。

まず、膨大な魔力が必要になる。量でいうのなら魔王10体以上の魔力が必要だ。もちろん、こんな膨大な魔力を持っている者など存在しないだろうから、代わりに純度の高い魔鉱石を10億個でもよい。


次に、魔法、魔術、魔工学、魔法化学、錬金術の全ての知識を持つことだ。これが無ければ、帰還の為の帰還石を作ることが出来ない。


そして最後に、帰還石を発動する場所についてだ。場所は召喚された時に居た場所に、この世界の同じ場所、同じ時間に発動することが帰還石の発動ルールとなる。』


と、記されていた。


この三つの難題の内‥‥二つ目だけはクリア出来ていた。だから、後は俺が地球で召喚を受けた場所――自分の部屋と、全く同じ場所をこの世界で探す必要があったが、幸いスマホで地球側の緯度と経度は把握できたので、後はこっちの世界の緯度と経度を合わせるだけだった。


そして見つけた場所は海の上だった。流石に何度もこの航海はしたくないので‥‥ここに”黒色”のマークを付けて帰ることにした。


それが扉渡りの黒色だ。


で、話を最初に戻すが、なぜ俺が「こんな開発を10年」もしたかについてだが、もう分かると思うが、より多くの魔鉱石を入手する為だった。


みんなは覚えているだろうか?俺が異世界に来て初めて作った物を‥‥初めて作ったのは「マイマイくん」だ。マイマイくんは雷の魔石を雷と魔力に分離して、その魔力を石に注入して魔鉱石にすることが出来る。


もう分かっただろ?俺がなぜ、ここまでの発明をする必要があったのか。答えは「より多くの電力を生み出したから、その電力の浪費の為」に他の物の開発をしていた。


みんな分かったかな?流石に分かったよな。


そして、今日ようやく10億個という魔鉱石が溜まった。俺は黒色以外の全ての空間を回収して、常時持ち歩いている空間にしまった。まぁ、アイテムボックスみたいなものだ。


「はぁ‥‥長かった。この世界に来て‥‥色々なことを学んだ。ありがとうございました。」


と、店の中でお辞儀をしてドアノブを回すと、ガチャとロゴの色が黒色になった。


――さぁ、帰るか!!日本!!


と扉を開けると、大量の海水が入ってきたが、どうでもよかった。俺は海の中へと進み、10億という膨大な魔力を溜めた”帰還石”を砕いて帰還魔法を発動させた。


すると、懐かしのあの光が俺を包み込んだ。俺は「帰れるんだ」と静かに目を閉じた。そして、俺の体は光へと包まれていった。

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