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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第47話 地下鉄。

「進め!!」


――と駅構内を車で爆走する。


目の前にゾンビが立ちはだかろうが関係ない。全てを跳ね飛ばしながら前へと進み続ける。ボンネットにぶつかったゾンビが鈍い音を立てて弾き飛ばされ、車体が大きく揺れる。


そして、ホームに停車している電車の姿を見つけた。


電車はある。

後は、動くかどうかだな。


「電車周りにいるゾンビを全員で排除するぞ!!備えろ!!」


全員に命令を出して、リタには


『リタ。何があっても神崎だけは守れ。いいな』


と、思念伝達を飛ばした。


この作戦において一番重要なのは俺でもリタでもない。電車を運転できる神崎の存在だ。最悪、神崎だけでも生き残っていたら電車を運用することが出来る。それは今後の展開にかなり影響する。だからこそ、絶対に神崎だけは守り切る必要がある。


そうして電車を発見した俺たちは、俺、リタ、神崎、堂島、中野の五名で電車の中をクリアリングする。その間、外ではホームにいるゾンビを倒してもらっている。


「俺とリタで先行します。神崎さんの背後は堂島さんと中野さんにお願いします。何があっても守ってくださいね。」


「おう。任せておけ。」


「じゃあ行きますよ。死ぬ気で着いてきてくださいね。行くぞ――リタ。」


「はい、兄さん。」


電車の扉を開けて中へと入る。


すると、やはりというべきか、俺たちを出迎えたのは大量のゾンビだった。


車内の奥からこちらを見つけたゾンビたちが一斉に唸り声を上げる。


ゾンビと対面するや否や、俺とリタは一斉に駆け出した。


俺は散弾銃を構え、引き金を引く。


ドォン!!


狭い車内に轟音が響き、散弾がまとめてゾンビの上半身を吹き飛ばす。肉片と血が座席や床に飛び散る。


そしてリタは二本のダガーとワイヤーを駆使して、まるでダンスを踊っているかのように車内を駆ける。ゾンビの腕を躱し、ワイヤーを巻き付けて引き寄せ、その勢いのまま首を刎ね飛ばしていく。


一車両にいた十数体のゾンビは、あっという間に肉の塊となった。


俺たちは次の車両へと歩を進め、さらにゾンビを排除しながら進み続ける。


そして――先頭の運転席へと辿り着いた。


「‥‥で、どうだ?行けそうか?」


神崎は運転席の機器を確認しながら答えた。


「そうですね。電車自体には特に問題はありません。動かすことは出来ます。」


「なら、今すぐ発進の準備をしろ。」


「それは無理です。今のままでは電車を動かすことは出来ません。」


「どうしてだ?訳を説明してくれ。」


「電車を動かすには最低限二つのものが揃っていないといけません。それは電気です。まず電車自体の電気。そして線路に流れている電気。この二つがないと、電車が無事でも動かすことは出来ません。」


「なるほど。なら、その電気はどこから送られてくる?」


「鉄道変電所という場所から送られてきます。ただ――それがある場所が‥‥地上なんです。だから、今のままでは絶対に動かすことは出来ません。」


「‥‥じゃあ、何だ、電車を動かすには地上にある変電所に行く必要があるってことか。そんなの無理に決まっているだろ!?他に手はないのか?ここからでも電気を送る方法はないのか!?」


神崎は少し考え込み――


「‥‥他の手は‥‥」


そして、顔を上げた。


「あ、あります!!一つだけあります!!」


「何だ?」


「地上の変電所に行かなくても電車を動かせる方法があります。それは地下にある補助変電設備です。」


「補助変電設備?」


「はい。地上の変電所ほど大きくはありませんが、地下には補助用の変電設備があります。ただ――」


神崎は少し言いづらそうに続けた。


「それはあくまでも補助なので、一ヵ所だけでは電気が足りません。四ヶ所すべての補助変電設備を動かすことが出来れば、電車を動かすことが出来ます。」


地下にある四ヶ所の補助変電設備を動かす。


口で言うのは簡単だ。だが、実際にやるとなると話は別だ。


ゾンビが大量にいる地下を自由に動ける者など、俺かリタくらいしかいない。だが二人で変電設備に向かってしまえば、この場所の防衛が怪しくなる。電車が動くようになっても、運ぶ人間が全滅してしまえば何の意味もない。


なら、どうする?いや、考えるまでもない。俺とリタを分ければいいだけだ。


「リタ。」


俺は振り返る。


「お前はここに残って、ここにいる人を守れ。俺は変電設備へ一人で向かう。」


――ずっと一緒に戦ってきた二人が、初めて分かれる瞬間だった。

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