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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第44話 問題発生。

ゾンビが多くいるポイントを無事に抜けて、今はゾンビの数も収まりスムーズに進むことが出来ている。この速度で進むことが出来れば、これまでのロスも回収することは可能だろうし、みんなの休息も確保できる。


ゾンビの行動力は食欲で、人を食う為だったら、例え手足が千切れていても無尽蔵の体力で追いかけてくることが出来るが、俺たち人間の体力は有限で、頑張って行動が出来たとしても24時間が限界だろう。だからこそ、休めるときに休む必要がある。


『リタ。そっちはどうだ?問題はないか?』


『はい。こっちは大丈夫です。ゾンビの姿もないですし‥‥危険なポイントは抜けたと言っていいでしょう。マスターの方はどうですか?』


『俺の所も同じだ。怪我人はいるが、噛まれた者はいないし、死者はゼロだ。正直、死者に関しては何人かは出ると思っていたが、俺の想定よりみんなの動きがいいのと、ゾンビの数が少なかったのがデカい。』


『ですね。こっちの人達もちゃんとペアでの戦闘をしっかりと訓練したお陰で戦力になっています。』


『だな。じゃあ引き続き‥‥警戒を頼む。』


と思念伝達を切った。


想定よりは遅れているが、その遅れももうじき取り戻せるだろう。現段階は順調と言っていい。正直、この今通っているルートも想定ではそれなりのゾンビの戦闘になると思っていた――が、やっぱりゾンビの姿がなくなっている。


それ自体は良いはずだ。決して悪い事じゃない。なのに、なぜだ?なぜ、こうも落ち着かないんだ?何か大切なことを見落としているか?いや、そんなことは絶対にない。俺はやるべきことをちゃんとやった。大丈夫だ‥‥大丈夫だ。


と心に募る不安に蓋をした。


――妙に静かだった。


ついさっきまで遠くに聞こえていたゾンビの唸り声も、どこかの建物が軋む音も、今は何も聞こえない。風の音すら止まったような、不気味な静けさが周囲を包んでいた。


その時だった――バサバサバサッ!!


大量の鳥たちが俺たちの頭上を通過した。群れをなした鳥たちが、まるで何かから逃げるように一斉に飛び去っていく。


その姿はただ飛んでいるようには見えず、明らかに何かから逃げているようだった。


そして鳥たちの姿が完全に消えた瞬間――ゴオオオオオッ!!


地面の奥から低い唸り声のような音が響いた。次の瞬間、道路が大きく揺れた。


「うおっ!?」


車体がガタガタと跳ねる。アスファルトが波打つように揺れ、街灯が大きくしなる。


その正体は日本で最も多い災害で、最も被害を出す‥‥地震であった。


「クッ!!クソッ‥‥このタイミングで‥‥地震かよ。全員!!しっかり掴まれ!!頑張って耐えるんだ!!」


俺たちがいる場所はそれなりに開けた道路で、周りに高い建物もない。これなら倒壊の心配はない。地震のタイミングは最悪だが‥‥この場所で助かった。


と俺たちは何かに捕まって必死に耐えていた。すると、『マスター!!道路がヤバいです!!』と思念伝達を聞き、前方を確認した。


地震によって道路に大きな亀裂が入り、その亀裂が更なる亀裂を生んでいき道路は崩壊を始めた。


アスファルトが裂け、コンクリートが崩れ落ちていく。


「全員!!下がれ!!!!」


と命令を出した。それぞれの車は全力でバックを始めるが、俺たちを追いかけるようにして道路の崩壊は続いていき、崩壊は俺たちの目の前で止まった。


はぁ‥‥はぁ‥‥危ない‥‥生きた心地がしなかった。流石の俺でも崩壊に巻き込まれたら、死は免れないだろう。


この地球に戻ってきて初めて死の予感を感じた。人より、ゾンビより‥‥自然災害の方がよっぽど怖い。自分が生きていることに感謝して、その場に座った。


だが、問題はまだ終わってはいなかった。


道路の崩壊によって想定していたルートは使えなくなった。そして、俺達が走っている道路の地下には地下街があり、その地下街は駅と繋がっている。


つまるところだ。こんな道路の崩壊という大雑音が鳴れば、地下にいるゾンビ達は――ガリッ。と崩壊した穴の奥から、何かを引っ掻く音が聞こえた。


ガリッ‥‥ガリッ‥‥崩れたコンクリートの隙間から腐った腕が突き出した。


「ッ!!」


さらにもう一本。


そして――顔。血まみれのゾンビが、穴の中から這い上がってくる。その後ろから――また一体。また一体。崩壊した穴から、次々とゾンビが溢れ出してきた。


「クッソ‥‥全員!!戦闘用意!!」


地震の安全確認をする暇もなく、次の問題がやってきた。

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