第43話 ゾンビ・ゾンビ・ゾンビ。
「一斉に突け!!」
言葉に合わせてバスから突き出された鉄槍がゾンビへと突き刺さる。
ぐしゃり、と嫌な感触が槍を通して腕に伝わった。頭を貫かれたゾンビが崩れ落ちるが、その背後からすぐに別のゾンビが手を伸ばしてくる。腐臭と血の臭いが入り混じり、鼻の奥を刺した。
病院を出発してかれこれ2時間が経過したが、予定よりかなり遅れていた。それも全て、ゾンビのせいであった。リタと共にゾンビが少ないルートを選んだが、それでも戦闘は避けられずゾンビがゾンビを呼ぶドミノ倒しになっていた。
倒しても倒しても、奥の通りからふらつきながら新しいゾンビが現れる。足を引きずる音、歯を打ち鳴らす音、喉の奥から漏れる低いうめき声。それらが重なり、まるで街全体が唸っているようだった。
このままの速度じゃあ到着は間違いなく深夜になる。夜までには確実に到着するには進む速度を上げるしかない。噛まれるリスクは高くなるが、仕方がない。
『リタ!!速度を上げろ!!進行の邪魔になるゾンビだけを排除しろ!!』
『いいんですか?それだと後方のマスターの負担が増えますよ?』
『仕方がない。このままの速度で進み続けたら到着は深夜になる。俺達は問題ないが、それ以外の人間がそれだけの長時間の戦闘に体が耐えられるはずがない。なら、危険でも速度を上げるしかない!!やれッ!!』
『分かりました。運転手に伝えます!!』
思念伝達を終わらせた。そして、中間と後方の運転手にも通達した。そして外で必死にゾンビと戦っている者たち全員に伝わるように「全員、注目!!!」と声を出した。
「このままの速度じゃあ到着は深夜になる。それは体力的にも持たない!!だから、速度を上げる!!全員、車に乗れ!!そして進行の邪魔になるゾンビだけを排除しろ!!いいな!!絶対に降りるなよ?もし、降りたら終わりだと思え!!」
言葉を聞いた者たちがゾンビを倒しながら後退を始めた。鉄槍が引き抜かれるたびに、腐った肉が千切れる嫌な音が響く。
俺はその援護と進行の邪魔なゾンビの排除の両方を行う。
進行の邪魔になるゾンビは前に5、右6、左8‥‥援護が必要なペアは4ペア。狙撃じゃあ無理だ。魔銃のモードを「狙撃」から「小銃」へと切り替えて引き金を引いた。
ダンッ!!
銃声が乾いた音を響かせる。先頭のゾンビの頭が弾け、黒い血と脳漿が飛び散った。
ダンダンッ!!ダンダンッ!!
連続して撃ち抜く。倒れたゾンビの体に後ろのゾンビがつまずき、群れの動きが一瞬だけ止まる。その隙を逃さず、撃ち続ける。
ダンッ!!ダンッ!!
その精度はホーミング機能のお陰で100%なので、俺の仕事はゾンビを照準の中に入れて引き金を引くだけ。
よし!!ゾンビの排除は完了‥‥次は援護だ。
外の者たちの方を見ると、既に下がれているペアが2。かなり危ない位置にいるペアが2個残っていた。そのうちの一人の足元に、倒れたはずのゾンビが這い寄っていた。
すぐさま助ける為にゾンビをロックしようとするが、人と被っていてロックすることが出来なかった。
クソッ!!ここからじゃあ無理だ。
俺はバスから飛び降りながら空中からジャンプショットを決める。
――ダンッ!!銃声と同時にゾンビの頭が砕け、掴みかけていた手が力なく地面に落ちた。
「速く退け!!俺が援護する!!」
俺は一人地上に降りてゾンビを排除する。ダンッ!!ダンダンッ!!ダンダンッ!!ダンッ!!銃声が連続し、ゾンビが次々に倒れていく。腐った体が道路に転がり、血と黒い液体がアスファルトを汚していく。
車には一切近づけさせない。ブーーン!!とエンジン音を唸らせながら車列が速度を上げて進み始めた。
俺は一人外に残りゾンビを排除し続けていた。すると、「リーヴァ!!捕まれ!!」と手を差し出す堂島さんが目に入った。俺は、その手を掴み最後尾の車へと飛び乗った。
「‥‥悪い。助かった。」
「いや、こっちのセリフだ。仲間を最後まで守ってくれて感謝する。それにしてもお前は銃の扱いも完璧なんだな。」
「全ては父の教えだ。それよりまだまだ戦いは続くぞ?休める時に体を休めておけよ。」
「おう。リーヴァもな。」
「バカ言え。俺が休んだら終わりだろ。」
と車の上を走って前方のバスの屋上へと戻り、狙撃モードで再びゾンビの排除を始めた。




