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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第38話 上に立つ者への言葉。

組織のトップ・リーダー・王とそれぞれ背負う重さは違うが、送られる言葉はどの役職であっても変わらない。


「王」なら国を民を良い方向に導くことが出来なければ――愚王の烙印を押される。


「トップ」に立つ者はあいつならやってくれるという周りからの期待を一身に背負い、それに応えることが出来なければ――終わりの烙印を押される。


「リーダー」は自分のミスでは部下や後輩が起こしたミスも、全てはそのグループをまとめていた自分の責任になり――失敗の烙印を押される。


これ全てはその者一人による失敗じゃあない。王は最終決定を下しただけで、そこに至るまで数多くの人と協議した上での決定なのだから、全ては王だけでなく他の人間にも、その責任はあるはずだ。


トップだって同じだ。その中で一番上手いからといって全てに勝てるわけじゃない。なのに、人は最後に負けた人を見て敗北の責任をその人のせいにする。


リーダーだって部下を信じた上でのミスだったはずだ。人は誰しもミスをする。なのに、そのミスに対しての責任を取らせようとする。


でも、決して悪いことだけじゃない。全ての逆境を跳ねのけて成功すれば、得られるのは最高の名誉と称賛の声が与えられるだろう。結局はハイリスク・ハイリターンってやつだ。


まぁ、どの世界でも同じか。上に立ったからには「悪も正」も「成功も失敗」も背負うことになる。と感慨にふけりながら――スッと視線を外に向けると、そこには土下座をする神崎さんの姿があった。


謝っている相手は神崎さんが軍キャンプに送った子供と奥さんの旦那さんだった。


その旦那さんは子供と奥さんを同時に失ったのだ。神崎さんの言葉を信じて、この場所で一緒にいるより軍で安全に過ごせると思って送り出したのに‥‥聞かされた事実は死だった。


旦那さんは我が子と奥さんの死に目にも会えず永遠の別れをしたのだ。


旦那さんは神崎さんを責めて責めて責めたてた。神崎は全てを受け入れていた。反論せず地面に頭を付けたままずっと「ごめんなさい」と謝り続けていた。



「あ、あんたの言葉なんて信じるんじゃなかった!!安全だと!!軍がぁ‥‥いるから‥‥大丈夫だと言ったのに‥‥なんで‥‥なんでだよッ!!なんで‥‥俺の家族が‥‥死ななきゃいけないんだぁぁぁぁ!!」


「‥‥すいません‥‥すいません‥‥すいません‥‥」


「グッ‥‥クソッ。もぅ‥‥いい。俺の目の前から消えてくれ。今は、一人にしてくれ。」


「‥‥はい、分かりました。」


と、最後にもう一度だけ深く頭を下げてから、その場を離れる。すると、後ろから「大丈夫か?」と堂島さんが声を掛けてくれた。


「‥‥はい。大丈夫です。」


「どう見たって大丈夫じゃないだろ。それに神崎さんが謝る必要なんてないだろ。この場所のリーダーになったのもたまたまで自分から志願したわけじゃないのに‥‥神崎さんだけが責められるのは納得できない。」


「それが‥‥私の役割だからです。一番辛いのは愛する人を失った彼らです。そんな彼らから責める機会を奪ってしまったら、きっと壊れてしまう。医者という職業をやっていてそういう人を何人も見て来ました。だから、私が責められるんです。


それに、私のこの立場も‥‥もう終わりです。後は彼らがやってくれます。私はリーダーという地位を降りて、ただの医者に戻ります。ですので、もう少しだけ私の我儘に手伝ってください。」


「‥‥あぁ、どこまでだって付き合ってやるよ。」


神崎と堂島はそれからも亡くした家族への謝罪を続けた。そして、謝罪の度に罵声を浴びせられるのだったが、それでも神崎は足を止めることなく――頭を下げ続けるのだった。

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