第34話 軍キャンプ《中編》
『マスター!!バイクってこんなに速いんですね。風が気持ちいいです。』
『だろ?風を切って進むのは最高なんだ。さぁ、しっかり捕まれよ?飛ばすぞ!!』
『はい!!』
アクセルを捻って加速して、ゾンビ共を置き去りにした。
◇
そうして運転すること一時間ぐらいで目的地が見えるところまでやってきた。
『マスター‥‥あの中に入るんですか?』
『う、うん‥‥まぁ、そうなる‥‥な。』
目的地の軍キャンプには”大量のゾンビ”が徘徊していた。その様子を見るに明らかに軍キャンプは機能していないのは間違いないだろう。
この写真を撮って帰れば”目標”は達成されるが、それだけじゃあ、ここまでやって来た意味がない。あのキャンプの中には武器、軍用車両、食料、医療品と数多くの物資が残っている可能性がある。
それに、このキャンプに来たのは確認だけの為じゃない。俺はもしかしたら、このゾンビに対しての研究データや何処から発症したのかという些細な情報でもいいから求めに来ている。
だが、この量は反則だろ。こんな量のゾンビを相手にどうしろって言うんだ。いや、愚痴っていても始まらない。まずは、徘徊しているゾンビを排除するとしよう。
『リタ。とりあえず徘徊しているゾンビから排除する。俺が屋上から狙撃するから、その援護を頼む。で、ある程度の数を処せたら‥‥バイクで突撃する。』
『了解です。』
空間から魔銃を取り出して形態を『拳銃』から『狙撃銃』へと変える。そして寝転んで狙撃の構えを取って――パスン!!と引き金を引くと、ゾンビの頭を撃ち抜いた。
『リタ。周りのゾンビは??寄ってきてないか?』
『はい、大丈夫です。』
狙撃銃の消音性能のチェックも出来た。後は、狙撃しまくってゾンビの数を減らしていくだけ。
◇
『これぐらい減らせば‥‥行けるか?』
『はい。これぐらいなら問題ないと思います。突撃しますか?』
『あぁ、突っ込むぞ!!』
空間から『Zero SR/S』を取り出してエンジンを吹かして、一気にアクセルを捻って発進する。バイクはすぐに屋上の端に着き、このまま進めば落ちてしまうところを錬金術で新たな道を作る。
バイクの速度はどんどん上がっていき、最高潮になった時に‥‥ジャンプ台を設置する。
『飛ぶぞ!!しっかり捕まれよ!!』
――と飛び越えた。
前輪が屋上の縁を離れた瞬間、ハンドルが一気に軽くなった。
タイヤの振動が消え、エンジンの音だけがやけに大きく耳に響く。空中ではバイクはただの鉄の塊だ。アクセルを捻ろうが、ブレーキを握ろうが何の意味もない。
視界の中で着地点がゆっくりと下へと落ちていく。
届かない‥‥か?そう確信した瞬間、後ろに乗っているリタの体重で車体が僅かに傾き、前輪が下がっていく。
あ~~絶妙に届かない‥‥か?いや、ある程度の距離まで飛べるだけでいい。と落ちるギリギリのところから道を生み出してキャンプ内に繋げる。
『ま、マスター!!死ぬかと思いましたよ!!』
『偶然だな!!俺もだよ!!』
――と屋上からの大ジャンプを決めてキャンプに入った。




