第3話 さらに月日は流れて。
異世界に来て三年が経った。
一年目に作ったマイマイ君も、この二年で”発電の効率化”・”軽量化”・”発電の時間の延長”などの様々な改良を経て、マイマイ君も5号機だ。
決して現状に満足はしていない。改善点は山ほどある。
例えば”大きさを手のひらサイズまで小さくしたい”とか、”コンセントではなくブルートゥースみたいな無線にしたい”とか、挙げたらキリがない。
だから一旦は満足出来る物が出来たと思うことにした――というよりは、他にやりたいことが出来た。
五ヶ月ぐらい前にサミールの授業で”空間魔法”について少し教えてもらった。なぜ、錬金術の授業で空間魔法の話が出たのかというと。
錬金術というのは主に金属を生み出したり、様々な物質を合成させて特殊な物を作ったりすることが出来るわけだが、ここで一つ疑問が生まれた。
目の前には金属はないが、錬金術を使えば金属を生み出せる。これはつまり無から金属という物質を生み出したことになる。なら、無から空間だって生み出せると思った。だって「無いもの」を「あるもの」にするのが錬金術なんだから。
だからサミールに空間魔法のあれこれを聞き、この五ヶ月間必死に試行錯誤に取り組んだお陰で、何と出来てしまった。
ただ、空間魔法とは違って空間と空間を繋ぐことはできない。ただ、その場にこの場所とは別の空間を作れるようになった。
この空間作成?が出来るようになって、新たな目標が1つ決まった。
俺は‥‥引っ越しをする!!というか、この場所に別の空間を作って、そこで実験をして文句を言われないようにする!!
もう”家を壊すな”とか”夜うるさい”とか”費用が高い”とか、ぜーーんぶ知らん!!成功するにはその倍の失敗をして初めて成功するんだ。むしろ失敗をしないで成功などあり得ない。
その事実をこの城に住んでいる人間は理解して無さすぎる。だから、俺が――出ていく!!
よしっ‥‥気合は十分!!やる気は満々!!――行くぞ!!別の空間!!
空間作成で目の前に別空間を作り出した。広さは6畳と、そこまで広くはない。まぁ、最初だから、いきなり大きい部屋を作って何かあったら終わりだからね――うん、ゆっくり行こう。
グネグネと歪んでいた空間が徐々に正方形の形に整えられていき、最後は言っていた通りの6畳ぐらいの一部屋の空間が出来上がった。
よしッ‥‥空間の安定はした。あと入るだけだが‥‥怖くね??マジで、俺、今から別空間に行くのか?本当に言ってる?いや、ビビるな‥‥男は気持ち!!と別空間の部屋に飛び込んだ。
う”う‥‥どう?大丈夫?
恐る恐る目を開けると、マイマイ君一号のような爆発は起きなかった。
「ふぅ~~怖かった。」
流石の恐怖に安堵の声が漏れて体の力がドンと抜けてしまった。これは紛れもない油断だった。入ったから安全だと勝手に錯覚してしまった。
すると”ぐにゃん!!”とさっきまで安定していた部屋が波のように上下左右に”ぐにゃんぐにゃん”と揺れ始めた。
みんなは知ってるか?人間の体っていうのは、上下左右に振り回されると体の内部も同じように振り回されんだ。そして内部が振り回されると‥‥人って‥‥吐くんだよ?
――オロロロロロロロロロ!!!!
「う"っ‥‥気持ち悪い。もぅ‥‥無理。誰か‥‥出して!!」
と、解放されたいあまりに俺は全ての手順を無視して空間を閉じてしまった。
空間を閉じる時は、開ける時よりも慎重にやらないといけない。
なぜかというと、空間というのは超満員の電車みたいなもので、ギュウギュウに隙間なくピッタリと点在している。そこに穴を空けて別の空間を生み出すということは、閉めるときはゆっくりとじゃないと、空いた隙間を埋める為にバチンって空間が閉まっちゃうよね。
そして、そのバチンの衝撃は、当然ただ扉が強く閉まるものとは比べ物にならないほどの威力を持つわけで、何が言いたいかっていうと‥‥また、やってしまった。
ドカーーーーーン!!と部屋で大爆発が起きるのであった。
「ぶへぇ‥‥また、やっちまった。あの酔いさえなければ成功していたのに‥‥あれの対策が必要だな。」
この後の展開は言うまでもなく‥‥城の人達に凄く怒られました。
そして、空間作成については、生み出す空間と同じサイズの部屋を用意して、部屋を空間の囲いとして部屋ごと別空間に飛ばすことで酔いはなくなり成功するのだった。




