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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第25話 拠点の拡張と時期。《後編》

畑の土の作り方を皆は、知っているか?


何もしていない土に種まきをしても、ちゃんとした物は実らない。だから、まずは土を掘り起こして柔らかくし、土と土の間に隙間を作る必要がある。


理由として、土壌中に空気と水の通り道を確保する為だ。固いままの土では根が物理的に伸長できず、また酸素や水分の供給も滞ってしまう。そうならないように、土壌構造を整える為に行うのが「耕起」なのである。


この工程だけは人力でやらないといけない。だから、ゴーレムにやらせようと考えていたんだけど『働かざる者食うべからず』だ。


この、ご時世で無料で食べられるわけがないのでね‥‥絶対に働いてもらう。だから、ゴーレムを作らずに人の手でやってもらうことにしたのだ。


そして、数日間の「耕起」でようやく畑の準備も終わった。



よし‥‥これで、準備は全て整った。


ここからの工程的には「土壌改良」という、畑において一番大事な工程となる。分からない人もいると思うので、土壌改良について少し説明をしておこう。


土壌改良とは、作物の生育に適した環境を整える為に、土壌の物理性や化学性、生物性を改善する工程のことを言う。


具体的には、腐葉土や堆肥、刈り取った草などの有機物を土壌中へと施用することで、有機窒素や有機炭素といった栄養源を供給し、土の中の微生物の活動を促進させる。


これらの有機物は、微生物の代謝によって分解されて、やがて植物が吸収可能な無機栄養へと変換される。その為、この工程をサボってしまうと必要な栄養素が土壌中に存在しない状態となり、正常な生育は見込めない。


したがって、耕起によって形成された土壌構造を維持したまま、有機物を適切に施用し、栄養供給の基盤を整えることが、健全な畑を作る上で重要な工程となる。


ここまで説明したから分かると思うけど、これらが完成するまでに一ヶ月ほど掛かってしまうが――俺の錬金術であれば、それら全ての工程を一瞬に行うことが出来る。


耕起によって整えられた土壌構造を確認しながら、錬金術の発動準備に入る。


本来であれば、有機物を施用して、それを土壌中へ混和したあと、微生物による分解を経て無機栄養へと変換されるまでの工程を踏む必要がある。


だが今回は、その有機物の施用および混和の工程を錬金術によって直接代替を行う。


そうすることで、土壌内部へ有機窒素源を直接「生成・分散」させながら、微生物の代謝によって行われる分解反応を段階的かつ高速に再現することが出来るようになり、無機化までの一連の工程を強制的に進行することが出来る。


そうして完璧な土が出来たら、後はみんなも知ってる畑の形に整えていくだけだ。あの一本の土の通り道に、左右に土を盛り上げた小さな山を作る、あれのことだ。


これを「畝立て」という。


ここまで終われば、後は種まきをして定期的に世話をして野菜が実るのを待つだけだ。


――と畑の準備を全てやり終えるのだった。



そうして、夜になり祈と二人っきりになり、俺は事前に言おうと思っていた言葉を祈に言うのだった。


「祈‥‥ここをしばらく任せてもいいか?」


それは祈にとっては唐突な別れの言葉だった。その言葉を聞いた祈は持っていた皿を落としてしまうほど衝撃的な言葉だった。


「な、何で!?私もついて行くよ。」


「俺だって祈を連れて行きたいと思っているが、子供たちを一人にすることは出来ないだろ?それに子供たちも俺より祈の方を信用しているだろうから、俺が残るより祈が残った方が絶対に良いんだ。」


「え‥‥でも、私は‥‥正人と離れたくないよ。ずっーーと、一緒にいるって約束したじゃん。忘れたの?」


「忘れるはずがないよ‥‥昨日のことのように覚えてるからこそだよ。今のままじゃあ何年経っても目的の治療薬の開発をすることは出来ない。俺達には何もかも足りてなさすぎる。


拠点を動かす為の「人員」、物を作るための「知識」、防衛の為の「戦力」と全て足りていないんだ。でも、あの子たちが言っていた救助のところに行けば、それら全てを解決することが出来る可能性があるんだ。


だったら、行くしかない。でも、全員では行けない。それはさっきも言ったけど、子供たちもいるし、この場所の発展を止めるわけにはいかないからだ。もちろん、祈一人に全てを任せようとは思っていない。「リタ」は連れて行くが、「リル」は置いて行く。


2人なら俺がいなくても、俺が帰ってくるまで‥‥しっかり守りきれるだろ?」


「それは‥‥そうかもだけど。私は‥‥離れたくないよ。」


「あぁ‥‥俺もだ。ずっーーと、祈と一緒にいたいと思っている。でも、前に進むには必要なことなんだ。分かってくれ。」


「う"う‥‥分かった。でも、条件がある。毎日、私と連絡を取れるようにすること。そして、必ずちゃんと私の所に戻ってくること‥‥それが約束できるなら‥‥納得する。」


「ふふ‥‥あぁ、約束する。何があっても俺は祈の元に戻ってくる。絶対に約束する。」


「分かった‥‥それが、嘘だったら許さないから。」


――と、俺達は口付けをして約束を交わすのであった。

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