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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第20話 生存者確保大作戦。 《中編》

「さてと‥‥行くか。」


「うん!!」

「はい。マスター」


拠点から駅まで安全に行けるルートを構築したことで、目標であった役所に行けるようになった。本来なら、事前に中の状況や生存者が残っているのかを確認したかったが、周りにそこそこのゾンビが居たので諦めた。


それなりの数のゾンビが外にいるということは、人が残っている可能性を示すので、確認する価値は全然あるだろう。それに、祈の友達もいるんだから、契約者としては救ってあげたい。


そして拠点を出発し、構築したルートを使って駅を無事に抜け、役所の近くまでやってきた。


「数は‥‥見える限りでは10体か。祈のクロスボウで遠距離から処理して、中に入ろう。」


「了解。じゃあ、リタちゃん、フォローを頼んでもいい?」


「もちろんです。」


二人はクロスボウの射程まで近づいて行った。


あの二人‥‥いつの間にあんなに仲良くなったんだ?いや?思い返してみれば、最初からそこそこ仲は良かったか。お風呂も毎日一緒に入っているし、寝る時は3人一緒だし、常に一緒にいるから、そりゃ~~仲も深まるか。


などと考えていると、祈が手で〇を作って合図を出していたので、二人に合流した。



役所の入口はシャッターで守られていて、隣の管理用の扉には暗証番号と鍵の二重ロック付きで、扉自体も鉄で出来ているので、これをゾンビで突破するのは難しいだろう。


「入口は安全そうだね。じゃあ、こっから入るか。」


俺は管理用の扉に手を当てて錬金術を発動すると、固い鉄の扉が、いとも簡単にグニャンと変形し、人が余裕で通れるぐらいの大きな穴を開けた。


それを目にした祈が、「相変わらず無茶苦茶ですね。」と呟いた。


「もう見慣れたでしょ?」


「そうですね。慣れ過ぎて、驚きもなくなってきました。」


「それは残念だね。俺は祈が驚いた顔は好きだったから、それが見れなくなるのは悲しいよ。」


「なっ!!バカなことを言ってないで、さっさと進んでください!!」


「はいはい。」


祈って、からかうと面白い反応を見せてくれるから、凄くからかいがいがあって楽しんだよね。まぁ、やり過ぎると怒って口をきいてくれなくなるから、注意が必要なんだけどね。


とまぁ、緊張感などは全くない状態で、役所の中に入って行く。



「‥‥静かだね。もし人がいるなら、少しの物音ぐらい聞こえてもいいのに、何も聞こえない。」


「‥‥‥‥」


祈は何も答えなかったが、顔からは不安が見て取れた。


友達の安否が気になり、この状況じゃなければ『今すぐにでも走り出して友達を探しに行きたい』気持ちを、全力で抑え込んでいる。


そんな祈を見て、早くしてやらないと、と思い、二人に先に進むよと合図を出した。


役所は地下を含めて5階まであり、現在は1階なので、あと4階で最上階になる。もし生存者がいるとするなら、地下よりは上の方にいる可能性があるので、俺達は階段で上へと向かった。


結論から言うと『役所には生存者はいなかった』が、ゾンビもいなかった。仮に、この役所がゾンビに襲われて崩壊したなら、役所の中にはゾンビがいるはずだし、死体もないとおかしい。


役所の中には、新しい死体は一つもなかった。それは、つまり『役所の生存者は拠点を移動した』ことになる。そして地下を探索しているときに、そこから脱出したのであろう外に繋がる扉を見つけたので、俺の予想は確定となった。


この事実を祈に伝えると、祈は泣いて喜んでいた。友達が死んでいないことが分かって、とても安心していた。


だが、俺としてはとても残念ではあった。ここまで時間と労力を掛けたのだから、生存者を確保したかった。また、これで一からやり直しとなった。しかも、役所の中には碌な物資は残っておらず、完全に無駄足になってしまった。


「せめて何か残っていて欲しかったんだけど‥‥まぁ、ないよな。しゃーない。拠点に戻るか。また、一から作戦の練り直しだ。」


と、役所を出てすぐのことだった。


「きゃあああ!!!」


という、人の叫び声が飛び込んできた。

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