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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第19話 生存者確保大作戦。 《前編》

『役所の生存者を救う』


これを達成するには、役所からマンションまでゾンビを排除して、安全なルートを確保する必要がある。そこで、まずは役所までのルート選びから始めることにした。


リタを連れてゾンビのいないルートを探したが、ゾンビのいないルートは存在しなかった。なぜなら、役所とこのマンションの間には駅があり、避けることが出来ない状態だった。


どのルートを選んでも、駅のゾンビを何とかしないことには、役所の生存者を救うことは出来ない。なら、やることは一つで、翌日からは3人で駅周りのゾンビを排除することを始めた。



「正人‥‥本当に、その仮面付けるんだ。」


「当たり前でしょ。俺の顔を他の人に見られるわけにはいかないんだから。それと名前ね。正人じゃなくて??」


「リーヴァね。」


俺は、素顔を隠す為にお面を付けている。俺はこの次元の人間じゃないので、白石正人という人間を認識して欲しくない。そこで考えたのが、身分と顔を隠すことだった。


これであれば、白石正人という人間は隠すことが出来るのだ。今の俺には必要不可欠な物なのだ。


「それじゃあ、今日もゾンビ排除を始めようか。昨日に比べて数は減ってはいるが、まだ目標数には至っていない。現状の半数ぐらいになれば目標数になるだろうから、今日で終わらせよう。2人共、行ける?」


「大丈夫よ。」

「はい、マスター」


「それじゃあ、今日で終わらせよう。」



駅に着いた俺達は、いつもと同じように先頭から「リタ」「祈」「俺」という、もう慣れたフォーメーションを取った。


先制攻撃として、祈のクロスボウから5発の矢が放たれた。放たれた矢は、キレイに5体のゾンビの頭を打ち抜いていた。


祈もゾンビとの戦闘にだいぶ慣れており、初戦で飲んでいたポーションを飲まずとも、恐怖に体が支配されることはなく、平常心で戦闘が出来ている。


多分、最近は近接戦の訓練も俺としているから、戦闘というものに体が慣れてきたことも影響しているのだろう。頼もしい限りだ。


で、もちろん変化があったのは祈だけではなく、リタも初戦とは動きがだいぶ変わっている。初戦では正面からゾンビを迎え討っていたが、今は極力魔力を使わないように背後を取って、省エネの戦いをしている。


こうして2人が全力でゾンビを倒しているのに、お前は何もしないのかよ?と思っている人も多いだろう。だから、声を大きくして言わせてもらうが、決してサボっているわけじゃないぞ。


俺の仕事は道作りだ!!


この駅の周りにいる、見える限りのゾンビを倒しても、結局、次の日には何処からかやってきて、駅にゾンビが溜まっている。なので、安全に通れるように、左右に「鉄壁」と、その上に鉄のフェンスを建てているのだ。


錬金術を使っている間は、他の魔法は行使できないので、俺の身はスキだらけになってしまう。その為、二人に守ってもらう必要があるのだ。


まぁ、ホムンクルスを作ってもいいのだけど、運用できるのが4体だけなので、そのうちの一枠をここで使うのは勿体ないし、出来れば魔力は温存して、魔鉱石の錬金に回したいのが本音だ。


だから、3人でやるしかない。


俺が必死に壁を作っていると、前から「リーヴァ!!そろそろ弾が切れそう!!」と、祈の声が届いて来た。祈に渡したマガジンの数は3つで、1つに100発が入っている。


その数が全て弾切れになるってマジか!!


「分かった!!今、すぐに渡すから、しっかり受け取れよ!!」


空間から3つのマガジンを取り出して、祈に向かって投げた。祈は横目でチラッと確認して、近くにいたゾンビに最後の矢を撃ってから、後ろを向いて飛んできたマガジンをキャッチした。


その時だった。一番近くにいたゾンビは一体だけではなく、もう一体隠れていた。それに気付かず後ろを向いたことで、祈の真後ろまでゾンビが近づいていた。


俺はそのゾンビの存在に気付いて大きな声を出すが、時すでに遅く、間に合う状況ではなかった。


ヤバい、噛まれる!!と思った時だった。


祈はゾンビの掴まりの攻撃をギリギリの所で回転で躱し、ゾンビの背中を蹴って壁に押し付けたまま、太ももにしまってあったナイフで頭を突き刺した。そして、受け取ったマガジンを流れるように交換して、また攻撃を始めた。


その動きは素人ではなく、歴戦に鍛えられた兵士のような、洗練された動きだった。


俺はその動きを見て、開いた口が塞がらなかった。


いつの間にか、祈が完全な兵士になっていたのだ。少し前まではゾンビを見て怖がっていたのに、凄すぎる進歩だった。もう、祈の心配はいらないな。あの状況でその動きが出来るなら、もう一人前だよ。


そうして無事に、拠点から駅まで一本の道の安全を確保することが出来た。ようやく、役所へ向かうことが出来る。

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