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「異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わして――世界を救う。」  作者: Lark224a


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第18話 現状整理。

帰還して初めて食べるご飯は「母の手料理」だと決めていた。やっぱり何年経とうが母の味という物は体に染みついて抜けてないし、ふとした時に凄く食べたくなる。


それが、母の手料理だ。


だから、俺も久しぶりに食べられると思っていたが――なぜか、今日もオークのステーキを食べている。


別にオークのステーキがマズイとかはないよ。魔物の肉は高級品で凄く美味しいが、それでも母の料理には勝てないものだ。まぁ、今日に関しては”目の前”にいる人の表情だけで、満たされない物も満たされるよ。


「お、美味しい!!凄く美味しいよ!!もう、お肉なんて二度と食べられないと思っていたから、凄く嬉しいよぉ‥‥。」


目に映るのは、涙を流しながらオーク肉を食べる祈だった。


「もう少しゆっくり食べな。喉に詰まらせるよ。」


「う”っ‥‥ぐぅ!!み、水ッ!!」


「ほら、言わんこっちゃない。はい、水。」


「――プハぁ!!死ぬかと思った!!」


「もう少し、落ち着いて食べな。」


この秩序も道徳も崩壊した地球で、唯一安全に崩壊前のような食事を取っているのは”ここ”だけであろう。外には人間を食べるゾンビが蔓延り、そのゾンビに恐怖し、日々、死の恐怖を感じながら生きるのが、今の人の生き方だ。


だが、忘れてはいけない。俺達も日々を大切に過ごさないと、そっち側になる可能性があるということを。物資、魔力、時間も無限にあるわけじゃない。だから、一日一日の時間を有意義なものにする必要がある。


その為には、これからの「選択と動き」が――大事になってくる。


「さて、食事も済んだことだし。これからのことについて話しておこう。」


食卓には、俺、祈、リタの3人と、テーブルには地図が置かれていた。


「まず、現状の整理からだ。リタ、周辺の偵察の結果を頼む。」


「はい、マスター。まず、このマンション周辺についてですが、生存者の確認は出来ませんでした。やはり、周りは住宅ばかりですから、今の人の力ではそこを拠点として防衛するのは無理でしょう。私の予想では『学校』『病院』『商業施設』などを拠点にしている人が多いと思います。」


「やっぱりか。ゾンビの数はどうだった?」


「ゾンビに関しては、拠点周辺にはそこまで多くは見られませんでした。ただ、拠点と同じようにマンションには数多くのゾンビがいました。そして、最も多くのゾンビが見られたのは駅でした。」


俺はリタの話を聞きながら、地図に書き込んで行く。赤い〇で囲むのはゾンビが多い場所、黄色は比較的ゾンビがいない場所、白〇は生存者の発見とゾンビがいない場所だ。


やっぱり駅周りは赤〇か。みんな逃げるときは電車か車を使うから、高速道路のような大型道路もゾンビで溢れているだろうな。ってなると、人を連れて来るにも問題なのは移動だな。


隣街に行くのにも、絶対に駅は通らないといけないし、その間にもそこそこ大きな道路もあるから、大量のゾンビがいるのは間違いない――地道に除去していくしかないか。


「ありがとう、リタ。次は祈に聞きたいんだけど。ここに来る前に居た拠点の場所と、その周辺の情報を教えて欲しい。ゾンビが多い場所や、物資が多く残っている場所とか、何でもいいから。」


「うん、分かった。でも、私が出てから色々と変わっているかもだから、絶対じゃないけどいいの?」


「それで大丈夫。」


「まず、この場所が私達の拠点だった。」


祈が白〇で囲った場所には◎が書かれていた。役所か‥‥なるほど、役所もシャッターとかあるから拠点としては悪くないが、問題なのは食料と、その人の数だな。


「祈達がゾンビを制圧して拠点にしたのか?」


「いや、違うよ。私達は学校から逃げているときに、またまた助けられたの。だから、中の安全を確保したのは元々役所にいた人達で、警備員の人とか体が大きい人とかもいたから、その人達のお陰だと思う。」


「なるほど。その他については何かあるか?」


「その、ごめん。初めて探索に出るまでは、ほとんど身を隠していたから、他の情報は‥‥ない。ごめん。」


「いや、謝る必要ない。生存者の場所が分かっただけでも十分だ。なら、生存者を集めるなら、距離から見ても祈がいた役所に行くしかないな。よし、明日からの方針を言うよ。


とりあえずは、拠点となるマンションの確保が出来たし、こうして最低限の生活ラインも出来たが、今以上に生活ラインを上げるには、どうしても人手が足りないし、この世界の今後を考えるなら、出来る限り人は多く救いたい。


ゾンビに対しての薬が出来ても、打つ相手がいなかったら意味がないからな。だから、明日からの目標として、役所の生存者を救うことにする。2人共、分かった?」


「うん、わかった。頑張る!!」

「はい、マスター」


と、次に向けての目標を定めるのだった。

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