第12話 異世界帰りの錬金術師は、祈る彼女と契約関係を交わす。
「あなたにも事情があるのは分かりました。私の一方的な願いなんて、答える義理も意味もないですから。でしたら、その義理も意味も作るだけです。
直接助けることが出来ない。なら、手助けはどうですか?私があなたの手と足になって動きます。もちろん、タダでとは言いません。私達に助力をしてくれるなら‥‥」
彼女は覚悟を決めたように、自分の服のボタンを一つ、また一つと外していった。
「私の身も心もあなたにあげます。私のこと、好きなんですよね?でしたら、悪くない取り引きですよね?」
「え‥‥えぇ??い、いや、だから‥‥最初の告白は忘れて欲しいんだけど。それにミスだって言ったでしょ!!」
と、彼女から視線を外す。
「違います。私‥‥昔から人の視線に敏感なんです。この人が私に対して、どういう気持ちを向けているのかがよく分かるんです。あなたが私に向けた視線は”ちゃんとした好意”でした。」
間違えるな。この選択を間違えたら‥‥とんでもないことが起きる。
彼女の顔もスタイルもすごいタイプだけど、俺達はまだ出会ったばっかりで、大事なのは”中身”で、外側じゃないと分かっている。それでも、彼女の魅力に‥‥俺は‥‥。
◇
「はぁ‥‥やっちまった。」
隣を見ると、生まれてきた姿で気持ちよく眠る宮坂さんの姿があった。
俺は男の欲望に逆らうことができなかった。こんなことになるなら、異世界でそういった経験の一回や二回、しておくべきだった。童貞を貫いたことで招いた”結果”だな。
「はぁ‥‥」と大きな溜息が零れると、隣から――。
「ひどいです。こんな美少女と一夜を共に出来たっていうのに、行為が終わった途端に溜息をするなんて。傷つきます。」
「それは”ごめん”だけど‥‥これからのことを考えると、溜息も出るよ。」
「‥‥手助けしてくれますよね?」
「‥‥まぁ、仕方ないね。やっちゃったことだから、ここでヤリ逃げなんてしないよ。俺の手と足になって働いてくれるんだよね?宮坂さん。」
「うーー、もちろん働くけど‥‥まず、その宮坂さんっていうのを止めませんか。私達は運命共同体になったんですから、”祈”って呼んでください――って、私、あなたの名前をまだ知りませんでしたね。」
「あーー、そうだったね。俺、名乗ってなかったね。俺の名前は白石正人。君と同じ”桜ノ宮高校”に通う高校2年生だよ。まぁ、こっちの世界には俺の存在はないけどね。」
「なるほど‥‥正人?それとも正人さん?いや、ここは”正人”ですね。正人――不束者ですが、よろしくお願いします。」
「う、うん‥‥こちらこそ。よろしくね??」
こうして、異世界帰りの錬金術師「白石 正人」は、祈る彼女「宮坂 祈」と契約|を交わして、このゾンビが蔓延る世界を救うことを決意するのだった。
◇
ようやく、本編が始まります。ここまでは、あくまでもチュートリアルみたいな物で、こっからが本編です。二人がどういう道を辿っていくのか、そして正人は世界を救い、自分の故郷へと帰ることが出来るのか。
バトルあり、恋愛あり、内政ありのなんでもありのストーリーなので、良かったら完結までよろしくお願いします。




